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財前和真編11-5 ※想悟×新堂、無理やり

「ど……してっ……。お前は、こんな風に人を傷付ける人間じゃ……どうしてなんだ、霧島ァッ……うぅっ……」  一応、今まで築いてきた信頼関係が邪魔をして、そんなに簡単に説得できるものではない。なら、行動で示さなくては。 「っ……! よ、よせっ。そこは……よさないかっ」  くったり萎えたペニスに触れ、強いペースで扱き上げ出すと、新堂は新たな刺激に身悶える。 「あの性にお堅い新堂先生も、こうやって……チンポ勃起させてマンコに突っ込んで生中出しして。それで綾乃ちゃんができた。それは変えようのない事実だろ? 俺らに授業して、説教したりした日も、セックスして、何食わぬ顔してまた登校して……その繰り返し」  嫌悪感をいっぱいに言いながら、腰を振るのはやめずに的確に手淫を行う。  雁首を責めるようにしていると、男である以上、ある意味仕方ない生理現象だ。  性欲なんて欠片もありませんとばかりの、ただの飾りのように付いているそれも、本来の使用用途の通り勃ってきた。 「ふッ……う、ぁ……あ……くふ、うぅぅ゛ッ……!」 (な……こんな……霧島にいやらしいことをされて、私は……なんて声を……)  痛みを我慢しているのかと思いきや、立派に感じているのか。  必死に唇を噛み締める新堂の歯の間から、湿っぽい声が漏れる。 「っふ……そういやぁ、奥さんと別れてからは、一人で処理してたのか? 綾乃ちゃんが寝た後、とか? それとも、そういう店に行ったり? あんたのことだから、再婚する気も、そもそも相手を探す気もないんだろ」 「…………黙れっ」 「否定するってことは、そうなんだ。愛娘が寝た後にこっそりオナニーか。オカズは何なのか気になるけど、まあ、綾乃ちゃんくらいの年頃になると、意外とトイレに起きた時にでも目撃してるかもしれないぞ」 「…………っ!!」 (そんなことあるはずないっ! それは……その手のビデオを、観ることもあるが……あくまで個別の寝室で……イヤホンもしているし……な、なるべく……声も出さないように……。そんなところを綾乃に見られたら死んでしまうっ)  核心を突かれた新堂の顔が真っ赤に染まる。  ああ、いいな。こんな表情の彼を見るのは、学生時代にからかってやった時でもなかった。 「それにしても今は教頭の新堂先生がねぇ……やっぱ男、なんだ。へぇ……ハハハッ」  綾乃に情けない姿を見られたら、本当に言葉の通り死にそうだ。  異性、特に身内の自慰行為は、ショックが大きく、忌み嫌う要因になる。  これでは、結婚時も相当レスだったに違いない。けれど、浮気はもちろん、再婚すらする予定がないときたら、そういった処理はほぼ独身の中年男がすること同じだ。  なんだ。新堂って、社会的地位こそあれど、中身はその辺にいる男と変わらないじゃないか。  それに長年憧れてきた俺って、いったい? 「なにが教師の鑑だ……バッカみてぇ」  出自については、真実を知っても知らずとも、一生背負うだろう呪いだった。  でも短いながらの半生だけは。人並みに過ごした青春だけは。  ……楽しかった。父さんが傍に居て、友人や頼れる先輩、可愛い後輩もできて、そして何よりも、登校すれば想い人が。  今思い返しても、ものすごく、最高に幸せの時間だった。  なのにそれさえ全否定された気がして、急に嫌気が差した。 「新堂」  初めて彼を敬称を付けず呼んだ。  新堂も、想悟の様子が変わったのを悟り、瞳を怯えの色に染めた。 「予感はしてたけど、俺は人を真に好きにはなれないみたいだ。全部まやかしだった。ああ、思春期特有のそれだよ。くだらない。どちらかと言うと俺のこの想いは……ただ単にあんたとセックスしてみたいっていう、不純極まりないものだよ」  そう。当時既婚者の彼に恋をしても、その先にの展開は何もない。  だったらいっぺんヤってみたいな。そうすればスッキリする。  男として、いいや霧島想悟として生まれた以上、切っても切れない衝動だった。 「くそっ……クソクソクソクソクソ新堂がッ!! あんたが居なければこんな……半端な気持ちで悩まずに済んだのに、ちくしょう!」  憂さを晴らすよう、ありったけの律動を送り続けた。  同じくらいに、新堂のものを扱くスピードを速く、激しくする。 「俺のっ……俺らの前で惨めにとっとと射精しろ!」 「うぅ゛っ!! くふぅうううぐうぅううううううっ~~!!」  おそらく初めてだろう壮絶な快感に新堂がのたうち回る。全身に力が入り、くの字に突っ張って、欲求を押しとどめようとする。  が、よっぽど溜めていたのだろうか。射精欲には逆らえず、濃い白濁がビュルッと勢いよく飛び出した。  一滴残らず搾取してやろうと、執拗に扱き倒すと、数回に分けて溢れ出す。 「あ、ぁあ゛……も、やめ……うぁはっ……ぁ……あぁ……」  元教え子との、それも人前での性行為で喘ぐのは恥ずかしいという自覚はあるのか。  大きな声を上げないよう、歯の根を鳴らすほど我慢したのだ。射精直後の新堂は涙声だった。  そんな新堂の弱々しい表情と、声音と、己のザーメンにまみれた姿と、異物を引き絞るように締め付ける尻穴の動き。  堪えられるはずもなかった。新堂の中でたっぷりと、思いの丈をぶち撒けた。 「やめない。あんたにはとことん身体でわからせる必要がある。……夜はこれからだしな」 「……ヒィッ」  新堂が身を震わせ、小さく悲鳴を上げた。 (霧島……財前…………綾乃……どうか不甲斐ない私を許してくれ……ううっ、うっ……)  昔では手の届かない場所にいた人間を、遂にこの手で征服した、と確信した。

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