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財前和真編12-1 ※想悟×新堂、見せしめ
早朝の職員室を見渡す。
室内に新堂はいない。その代わりに、数人の教員が、困り顔でひそひそ話をしている。
「あれ……? 今日は新堂先生はお休みなんですか?」
想悟は何も知らない風を装って、怪訝な声を上げながら、教員達の輪に入って行く。
「いえ……それが、特に連絡も入っていないんです。無断欠勤なんてするような方じゃないのに、どうしたんでしょう……」
「初等科の方にも聞いてみましたが、娘さんも今日は珍しくお母様と一緒に登校されたようですしねぇ」
そう、無断欠勤なんてする柄ではない。ましてや、大事な愛娘を放っておくなんて。
皆、普段の真面目な性格を知っているぶん、教員達は心から新堂を心配していた。
職員室を出て、クラスに向かう途中に、ちょうど登校してきた和真を見つけた。和真はどこかぼんやりしていて、目の前に迫る想悟も視界に入っていないようだ。
「おはよう、財前」
声を掛けてからようやく想悟に気付いた和真が、びくりと肩を震わせた。
和真の言葉を待たないまま、想悟は彼の耳元でこう続ける。
「新堂にチクっただろ?」
瞬間、和真の顔が青ざめた。
たったそれだけで、ガタガタと震え始める和真が面白くて仕方ない。
でも本当に恐怖させるのはまだこれからだ。想悟は笑みを絶やさない。
「俺との約束破るような悪い子の和真には、面白いもん見せてやるよ」
そう言って、強引に和真の腕を取る。
「ちょっ……な、なんだよ! どこに連れてく気だ!?」
「暴れんな。すぐそこだ」
そうして連れて来た場所は、薄暗く、埃っぽい部屋。
(ここって……確か、物置……?)
そこは元々は部室だったのだが、廃部をきっかけにほとんど使われなくなり、物置と化した部屋だった。
背中を押して無理やり部屋に入らせると、和真はいとも簡単に転び、そして部屋の淀んだ空気をもろに吸って軽く咳き込んだ。
「あんたっ……いったい、何を」
「面白いもん見せてやる、って言っただろ?」
怒りと不安を抱きながら、想悟を見上げる和真。
なんて滑稽な表情なのだろう。大声を出して笑ってしまいそうになるのを堪え、想悟は部屋の奥を顎で示して見せる。
──……ヴ……ヴヴ……。
「ひぃっ!?」
かすかなモーター音に、和真は化け物でも見たかのような金切り声を上げて腰を抜かした。
赤子のように這いつくばってなんとか音の発生源に近付くが……なかなか正体を暴けずにいる。
「お前の為に用意したんだ。ほら、見てごらん」
仕方がないので、優しく言いながら被せてあった布を取り払い、そこに隠していた“物体”を指差した。
その刹那、和真の目が大きく見開かれた。
「教頭……?」
震える声で呼ばれると、その物体……新堂はようやく想悟達に気づき、小さく身じろぎをした。
「なん……で……」
新堂は、全裸に剥かれ、一歩も動けないように四肢をきつく縛られ、口にはボールギャグを咥えさせられていた。
昨夜の凌辱のあと、新堂をここに縛り付けたのは想悟だ。
初心者なりにスタッフに教えられながら頑張ったという理由もあって、我ながら惚れ惚れする具合に、つい口角が上がってしまう。
早朝の校内に似合わない、まるでハードなAVのワンシーンかのような異様な光景だった。
想悟は新堂に近付くと、和真に見せつけるように、尻に挿入されたままのバイブの手元を、ピンと指ではじく。
「うぅっ!! ふっ……んぐうっうう!」
たぶん昨夜は一睡もできたかどうか。虚ろな目をしていた新堂が大きな反応を見せた。
昨夜からずっと、このバイブは処女貫通したばかりの新堂を苛み続けている。最初からスイッチを最大にしていた為、電池の消耗も激しく、今は微々たる動きだ。
だが、電池が無くなったのなら、ディルドの代わりにするだけの話だろう?
虫の息のバイブをジリジリと引きずり出していく。ローションなのか腸汁なのか、もはやわからないほど混じった液体がヌラリと肉の輪とともに露わになる。
そして抜けそうになったところで、新堂の呼吸を待たないまま思い切り再奥に突っ込み、そのまま新堂の腸内をぐるりと掻き回し、力いっぱい抉ってやる。
「んぐぅうううがはあああああアアアアッ!!」
長時間の肛虐に既に感覚も無くなりつつあっただろう。
とろけきったアナルをいきなり深く掘られ、新堂は枯れた声で喚きながらぎゅっと目を閉じている。
バイブを捏ねくり回すたびに、ズッポズッポと肉壁と腸液が擦れる凶悪な音、それに新堂の悲鳴が重なって、耳が心地いい。
(ど、どうして教頭がこんな目に遭ってるんだよ!? まさか……チクったって……)
和真の思考は、認めがたい結論に辿り着く。
(……俺の……せい……?)
「こんな格好になって……尻を犯されて……新堂、可哀想だよなぁ。誰のせいだろうな?」
「ぁ……ああっ……嘘だ……こんなことまでするなんてっ……」
「こんなこと? お前が他言無用の約束を破らずに、ちゃんと役目を全うしていたなら、こうはならなかったんじゃないのか?」
そう。新堂を凌辱することは、あくまでも和真への見せしめだ。
本当は和真をぶん殴りたかった。滅茶苦茶に犯してやりたかった。その麗しい顔に一生残る大火傷でも付けてやりたかった。
でもそれでは駄目だ。身体を傷付けるだけならいくらでもできる。
それこそ、クラブで使い物にならなくなるまでこき使って、売り飛ばすなり、司みたいに殺して、バラして、それを映像化したものを会員に売り付けたり……奴隷の末路など、どうにでもなると想悟はもう嫌というほど思い知った。
そんなおぞましいことを考えるほど、和真の告げ口に関しては怒りの感情が溢れて止まらなくなってしまった。
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