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財前和真編12-4 ※3P、連結、童貞喪失

「私のことは、気にするな……」  新堂が言った。フォローのつもりらしいが、そんなことを言われた方が余計に重責になるんじゃないか?  でも、和真は半ば自棄になって、 「うっ、くぅ……俺だってずっと恥ずかしいこと我慢してきたんだ……痛くてもつらくてもっ、もうここまで来たらしょうがないんだからな……!」  そんなことを嫌味に呟きながらも、新堂のぽっかり開いたアナルに勃起を捻じ込んだ。 「ふぐうっううぅううう!!」  玩具なんかとは違う、肉感的な快感。あの新堂も、それはもう想悟が散々犯してやったせいもあり覚えている。  ただ、奥で小刻みに動くのも、長いストロークも無しに、なんというかすごく下手。家畜の交尾以下だ。  当の和真はと言うと、新堂の締め付けと蠕動運動がたまらないのか、恍惚とはしながらも、上手く動けずにいる。  なんて素晴らしい光景。最高だ。こんなのオカズにしたらとんでもない量が出そうだな。  ……いや、オカズだけで済ませるなんてもったいなさすぎる。こんな経験はきっともう二度とない。  想悟は舌舐めずりをし、彼らが気付かぬうちに下半身をくつろげた。そうして、新堂を犯している和真の尻に狙いを定める。  片方の手で腰を掴んで、片方の手で健康な肉穴に己を押し付ける。 「うわあぁぁぁぁぁっ!?」  そして、和真の慣らしてもいないアナルに、想悟はガチガチに硬くなったペニスを根元まで一気に突き入れた。  入り口が強く締まってたまらない。しかし、日々の開発のせいか中は柔らかくとろけている。  処女と非処女の相手を同時にしているような感覚に、想悟の逸物は和真の中でさらに大きくなった。 「いっ……ぐうううぅ……こんな無理やりしなくてもっ……! 抜けよっ! ぬ、抜いてく……ださいっ!」 「駄目だ。抜かない」 「で、でもこれじゃ、教、頭……うぐぅあぁっ……犯せないっ……」 (なんで入れんだよぉっ! あんた俺が教頭を犯してる姿が見たいんじゃ……! マジで嫌だこれっ、前も後ろもきつすぎっ……あぁッ、訳わかんなくなりそっ……!)  あくまでも言うことを聞いているとアピールしたいらしいが、和真は首を必死に横に振って身悶えた。  新堂の締め付けと、想悟が送り込んでくる快楽に徐々に慣れてきたのか、和真の思考も落ち着いてくる。 (あ……そ、そう……言えば……俺……)  次に放たれた言葉は、想悟にとってかなり衝撃だった。 (俺の……童貞……童貞が……! こんな……ことに……っ!)  嘘だろ。こいつ、童貞だったのか?  経験豊富そうな振る舞いをしていた癖に。これは傑作だ。想悟は吹き出してしまいそうになるのを、手の甲で口を押さえて耐えた。  意外と奥手なのか、両親、特に母親の女としての醜い部分を知っているから、いざとなると恋愛対象としては見れないのか。  何にしても、あれだけモテてていた和真が浮いた話の一つも出ず、にしては背伸びした自慰行為を好んでいたことの全てに合点がいった。  そうか。なるほど。それじゃあ、これも初めてなんだろうな? 「和真。こっち向け」  想悟は身を乗り出して、和真に顔を寄せた。  のろのろと振り返る和真の腕を引き寄せ、そして……和真の恐らくまだ誰にも汚されていないであろう唇を奪った。 「んんんっ!」 (あ……なに……?  ……あぁぁっ、う、嘘だろ……こいつ、俺のファーストキスまでっ……!)  奇しくも想悟も初めての行為だった。それも奴隷調教を行う上で愛情なんて感じていない相手と唇を重ねるなど……。  ささやかな抵抗とばかりにガリッと唇を噛まれ、彼とのキスは鉄の味がした。  しかし、和真にショックを与えられた悦びの方が大きく、想悟はほくそ笑む。 「キスも初めてかよ。童貞」 「……っ!!」 (な、んで、俺が童貞だって……)  心を読まれ、図星の和真は真っ赤にした顔をぐしゃぐしゃに歪めて、悲痛な心底の声を上げた。 (こいつは……俺の大事なもの、全部壊してく……他人まで巻き込んで……あげくそれを俺のせいだって……もう本当に……) 「なにが裏切り者だ……この……疫病神っ……!!」 「……あ?」 「あんたがっ! ……あんたが担任にならなければ! 学園に来なければ! 教師にならなければ……! う、うぅっ……わあぁぁぁっ!!」  一気に吐き出した和真は、子供みたいに大声で泣き出した。  疫病神。その言葉に、何故だか胸の辺りがちくりと痛んで…………納得した。  俺は本当に、そうなのかもしれない。  実の親にも必要とされなかったこんな命は、教師になるどころか、霧島家にも拾われる価値なんてなかったはずだ。  赤ん坊の頃に野垂れ死んでいれば、和真や新堂は今もそれなりに平穏な日常を送れていた。  こいつらは、哀れな子羊。運悪く選ばれてしまっただけに過ぎない、生贄だ。  神は神でも不幸を振り撒く方か。正に的を射られた気分だ。  鷲尾に「あなたは神だ」というようなことを言われた記憶もあいまって、皮肉にしか聞こえない。 「疫病神…………だったら何が悪い」  想悟がピストン運動するたびに、その揺れは新堂にまで伝わるようだ。間接的に新堂も犯しているかと思うとたまらない。 「ぐっはっぁあっ! 財前……霧、島……そんなにっ……激しく動かないでくれぇっ……!」 「ハハハハハッ、そんなに男に感じる身体になったんだなぁ新堂。それに和真、お前だって……前も後ろも塞がれて、なのに逃れられやしない」  こんなに強引に抱いているのに、苦痛だけではないものを感じる彼らが本当に馬鹿らしい。二人同時に支配せんと、激しく腰を振り立てまくる。 「うあぁッ、やだやだっ、教頭の中に出したくねぇって、あんたに出されるのも御免だけどぉっ……! ひああああァアアアッ!?」 「知るかッ……! 二人して惨めにイッちまえよこの奴隷風情が!」  可愛さ余って憎さ百倍とはよく言ったものだ。  今の和真に感じているのはそう、膨大な怒り、憎しみ。もっとつらい目に遭えばいい、俺がそうしてやる。  深く突き込んで和真に熱を解放すると、和真も身を震わせた。想悟に捕まっている以上、止められない射精は全て新堂の中に注ぎ込むしかない。  新堂もまた、教え子に汚される現実から逃避したいのか、どこか遠い目をしていた。 「ふぅー……あ、童貞卒業おめでとう。にしても相手が教頭とはなぁ」 「……ぅ。うぅっ……うぐっ……」  和真は声を詰まらせて泣いた。いろいろな感情がないまぜになって、とてもじゃないが一言では言い表せないんだろう。  内心ざまぁみろとすら思った。  新堂に相談するだけなら良い。けど、新堂一人が本当に何とかできる問題だと思ったのだろうか。もし俺にばれた時、制裁がないとは想像しなかったのだろうか。  何一つ考えちゃいない子供だ。  俺よりも、もっともっと未熟で周りに迷惑をかける。そうして自分に嫌気が差して、別の人格まで生み出す始末。  弱くて簡単な約束すら守れない人間は、俺にはもう要らないかもしれない。そんなことを、ふと考えた。

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