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後書き 作者的解説/考察◆序章〜和真編

※ネタバレ全開につき、できれば全ルート完走後を推奨します。 序章: 珍しくガッチリプロットが決まっていました。まずは想悟は霧島家の養子であり、養父 との関係は良好である、さらに現在は失踪しているものの養父には一人娘がいたこと。これは後々にも重要になってきます。 学園での想悟は、癖のある生徒や教師に囲まれながらも、正に平和な日常そのものを送っていました。 前作の神嶽とは違い、気のいい兄ちゃんという感じで喜怒哀楽の表現だとか、人間性をここぞとばかりに出しました。 ただ、一部の方は察したかもしれませんが、「世良」学園長に接触されるまでは、です。 世良は(名前こそ出てこなかったシーンもありつつ)前作でもちょくちょく出てきていて、クラブでは古参のVIP会員。 前作から神嶽の正式な後釜を務めることになった、一見とても温厚そうな男です。想悟もまた、彼を信用していました。 しかしいざ食事という名目でクラブに連れて行かれると、待っていたのは無垢な青年には恐ろしすぎる光景でした。 あげく、拘束されてしまった想悟の前には可愛がっていた後輩であり、前作のメインヒロインである司が自我を喪失した状態で現れます。 そこで想悟は逆レイプの被害に遭ってしまう訳ですね。さらに司は用済みとして鷲尾に殺されます。 司の処遇は、クラブでは「いくら彼ほどの人間でも三年も経てば飽きられている中古品」扱いだと思ったので、最初の犠牲になってもらいました。さよなら、司……。 鷲尾は場所を変え、想悟の本当の父親がこのクラブのオーナーであることを明かし、後継者になってもらいたいと持ちかけます。 もちろん到底信じられる想悟ではありませんでしたが、鷲尾は想悟の生まれ持った読心能力についても知っていました。 誰にも言ったことのない、ただ一人で苦悩していたことを当てられ、さらに司が殺される中でも絶頂してしまった自分は普通ではない、どうせどこの馬の骨ともわからない人間なのだと自問自答が止まらない夜を過ごし、精神的にとても疲弊します。 鷲尾の説得を経て、二度と人間の汚い部分を聞きたくなくて封印していた読心を、想悟は少しだけ解放することにしました。 中にはやはり傷付くこともありましたが、心の声も人それぞれであるのだと想悟は驚愕します。 そして、司や鷲尾が言っていた「神嶽」という人物について、想悟は猛烈な興味が湧きました。なにせ同じ能力を持っていたというのに、大した情報もないのです。 もしかして彼は自分と何か関係のある人物なのだろうか、神嶽の存在は後にもずっと想悟を苦しめることになります。 学園の人間に接していく中で、読心がなければわからなかったであろう弱い部分などを垣間見た想悟は、鷲尾の言う通りまずは神嶽と同じく「奴隷調教」を行うことを決めました。 何よりも、命令を聞かないのであれば養父を殺すと脅されていたからです。 クラブの思惑通り、誰かを守る為なら、誰かを犠牲にするしかなかったのです。 そこら辺で想悟の「人間性」も変わったのか、もしくは初めからそうだったのか。それは初々しい想悟にはわかりません。 和真: 散々言及しましたが、家庭環境の劣悪さは彼が一番だと思います。 ただ家族仲が悪いならまだしも、世間にはおしどり夫婦としてずっと嘘をつき続けてきたからです。 和真もまた、本物の不良とまではいかないかもしれませんが、学園では問題児扱いされている生徒です。が、それもまたある種周囲を欺く為の行為でした。 何か悪戯をすれば両親もさすがに構ってくれる、それが子供の頃からの癖、さながら二重人格になっていたのです。 何が嘘で何が真実なのか、想悟も彼の心が上手く読めず苦戦します。 ちなみに和真は露出プレイ枠だな……なんてのは最初から決まっていました。 終盤の方は、想悟としっかり向き合って話をするという少し不思議な絵面でした。 それに想悟が弱い部分をさらけ出すのも、和真にとっては意外な光景だったと思います。 いっそ一発殴ればいいのに、想悟に情けをかけた和真はやはり心の底では想悟がどうして自分を犯すのか、疑問に思っていたのかも。 もちろん想悟がしたことは許せない。けれど何故そうなってしまったのか、真実を知りたい。 それが、想悟と同じく上辺だけの大人に囲まれて生きてきた和真という人間の本質だったのかもしれません。 そして、読心を封印するきっかけにもなった想悟が、一抹の希望を抱いて「心の清い者」を探して止まなかった答え。 それが和真の最後でした。 和真バッドエンド: 想悟当人が廃人化するエンドです。 闇和真とでも言いましょうか、別人格の和真に心で干渉し、その結果引き込まれた。彼の闇に耐えられなかった。それが理由です。 読心が発達しすぎたからこそ彼に接触できた訳ですが、さすがの想悟も発狂しても仕方がありませんでした。 廃人の想悟は性的にも肉体的拷問にも使えない、まさに生き人形。 治癒能力もとても弱体化しており、今なら殺せるのではと鷲尾に思わせたほど。 鷲尾からすれば想悟に期待を寄せすぎていた為、こんな男が隠し子なんて、とオーナーに対しても想悟に対しても怒りと呆れしか湧きませんでした。 だけど、やはりまだ死ねない運命にある想悟。和真も鷲尾という第三者によって奴隷堕ち。彼らに何かを見出すこともない。 誰も救われないのはいつものことですが、誰も得しないルートは少し珍しいのではないでしょうか。

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