2 / 86

1-2

深夜1時、スザクからもらった情報を元に、とある倉庫内に忍び込んだ。 スザクの言う通り、そこでは薬の密売が行われていた。 複数のマスクをつけた男達がいる。奴らがおそらくカーネーションだろう、とユキトは思った。 超小型のカメラを取り出し、バレないように証拠の写真を何枚か撮った。 「本物のようねぇ」 一人の背の高い奴が出てきた。 奴だけマスクをしていない。 長い髪をオールバックにしており、外見からは男女の区別が付きにくいが、背の高さと声の低さから、男だろうと推測できる。 「あなた達、ご苦労だったわねぇ」 男の声で女のような喋り方をする。 オカマか?とユキトは思った。 次の瞬間、パンパンっと銃声が響いた。 ユキトはさっと身を隠す。 どうやら薬の運び屋の男2人が撃たれたようだ。 オカマ野郎が撃ったのだ。 奴の冷血な表情に、ユキトはゾクッとした。 ふざけた喋り方をするが、只者ではないようだ。 証拠の写真も撮れたので、このあたりで撤収しようとしたときだった。 「出てきなさい。覗き見なんて趣味が悪いわ」

ともだちにシェアしよう!