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深夜1時、スザクからもらった情報を元に、とある倉庫内に忍び込んだ。
スザクの言う通り、そこでは薬の密売が行われていた。
複数のマスクをつけた男達がいる。奴らがおそらくカーネーションだろう、とユキトは思った。
超小型のカメラを取り出し、バレないように証拠の写真を何枚か撮った。
「本物のようねぇ」
一人の背の高い奴が出てきた。
奴だけマスクをしていない。
長い髪をオールバックにしており、外見からは男女の区別が付きにくいが、背の高さと声の低さから、男だろうと推測できる。
「あなた達、ご苦労だったわねぇ」
男の声で女のような喋り方をする。
オカマか?とユキトは思った。
次の瞬間、パンパンっと銃声が響いた。
ユキトはさっと身を隠す。
どうやら薬の運び屋の男2人が撃たれたようだ。
オカマ野郎が撃ったのだ。
奴の冷血な表情に、ユキトはゾクッとした。
ふざけた喋り方をするが、只者ではないようだ。
証拠の写真も撮れたので、このあたりで撤収しようとしたときだった。
「出てきなさい。覗き見なんて趣味が悪いわ」
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