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「お目覚めかしら?坊や」 ユキトは意識を取り戻した。 腕を後ろ手に縛られ、マスクの男たちに囲まれていた。 目の前にはオカマ野郎がいる。 「チッ、捕まったか」 ユキトは自分の不甲斐なさに小さく舌打ちをした。 「坊や、随分暴れてくれたわね。何者なの?」 ユキトはふいっとそっぽを向いた。 「生意気ね。答えないつもり?」 ユキトの顎を掴み、前を向かせる。 「本当にまだ子供ねぇ。なかなかの美少年じゃない。あなたのような子供がこんなところで何をしていたの?」 「俺に触るな。オカマ野郎」 「あら、顔に似合わず口が悪いのね。アタシはオカマ野郎なんて名前じゃないわ。ベスという名よ」 「オカマの名前なんてどうでもいい。あんたらはカーネーションか?」 その単語を出すと、今まで余裕だったベスの顔つきが少し変わった。 「なるほど、ただの坊やじゃないようね。雇われの暗殺者、といったところかしら」 「お前達の目的はなんだ?」 「素直に答えると思うの?あなたこそ、まだ最初の質問に答えていないわよ」 「素直に答えると思うのか?」 ユキトはイタズラにニヤッと笑った。 「なるほど、子供でもプロって訳ねぇ。この手のタイプは拷問しても口を割らない。とりあえず、あなたが撮っていた写真は抹消させてもらうわ」 ユキトの顔色が変わった。 写真を撮ったことに気付いていたのか。

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