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スザクはもう一度、ユキトにキスをした。
今度は長いキスだった。
「ん、ふぁ…」
唇を離して、驚きと快楽とで呆然としているユキトに言った。
「ユキト、自分を大事にしてくれ。危ないと思ったらまず自分の命を一番に考えろ。いいな?」
「…スザクさん」
ユキトは、トロンとした表情でスザクの名を呼ぶ。
「あぁ、いけないな。これ以上の事をしてしまいそうになる。私はもうすぐ出掛けるから、暫くここで休んでいてくれ。服はそこに入っているものを使ってくれて構わない。2,3日身体を休めて、また任務がある時はよろしく頼む」
スザクは、そう言うと出かける準備をした。
残されたユキトは、まだ呆然としていた。
― 何故スザクさんは俺にキスをしたんだろう?慰めるため?
答えがわからず考え込んでしまい、ユキトは、スザクが出掛けた事にも気づかなかった。
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