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数日後、カランと、いつものバーのドアを開けた。 この日も、カウンターのいつもの位置にスザクさんはいた。 「仕事?」 ユキトはスザクに近付いて、一言そう聞いた。 「仕事だ。例の政治家の男、覚えているか?」 「確か、男色の政治家」 「そう。奴は政治の裏で不正な金の取引をしているが、証拠をなかなか入手出来ていなかった。手に入れるには、奴を懐柔する必要があった」 「で、奴の趣味は男娼を買う事」 「あぁ、それも美少年が好みのようだ。そこで、ユキトの写真を男娼を装ったホームページにアップし、そのホームページに奴を誘導して暫く様子を見ていた」 「ひっかかったのか」 「そうだ。明日午後14時頃自宅に来てほしいそうだ」 スザクは奴の特徴や住所などの情報が書かれた紙を、ユキトに手渡した。 「任務は了解した。それにしても、本当にひっかかるとは。俺なんかのどこがいいのか…」 「ユキト、くれぐれも無茶はするなよ。怪しまれたらすぐに戻れ。いいな」 スザクさんは、真剣な眼差しで言った。 ふと、数日前のキスのことを思い出してしまい、ユキトは思わず目をそらしてしまった。 「し、心配しすぎだよ、スザクさん。今回はうまくやるから安心してくれ」 ユキトはそう言って、その場をそそくさと離れた。 スザクの顔を見ると、何故か胸の鼓動が早くなってしまい、その場を早く離れたかったのだ。

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