35 / 86
4-2
翌日、指定された場所にユキトは来ていた。
1日付き合ってくれと言われたが、一体何なのだろう。
任務ではないとなると、皆目検討がつかない。
もしかして、自分が何かやらかしてしまったのか?
ユキトはあれこれと考えを巡らせていた。
しかも、駅前のショッピングモール前に待ち合わせって…
カップルがいっぱいいるし、なんだかデートみたいじゃないか。
そう思うと、またこの間のキスの事を思い出してしまい、ユキトは頭を強く振った。
何を考えているんだ、自分は。
いやそれ以上にスザクさんは何を考えているんだ。
自分は裏社会に生きる暗殺者だ。
こんなカップルがうようよいるような昼間のショッピングモールにいるなんて場違いも甚だしい。
そんなこんなで頭を悩ませていると、後ろから声をかけられ、振り返った。
「待たせてしまったかな、ユキト」
「ス、スザクさん…?」
そこに立っていたスザクは、いつもの黒ずくめと違い、爽やかでカジュアルな格好をしていた。
「どうしたのかな?私の顔に何かついている?」
思わずじっと見つめてしまっていた事に気付き、慌てて目をそらした。
「いや、なんか、いつもと雰囲気違うから…」
「そうかな?まぁ、今日はオフだからね。さぁ行こうか」
スザクはそのまま歩き出した。
「行こうかって…どこに行くんだ?」
ユキトは慌ててついて行った。
ともだちにシェアしよう!