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ユキトは、トイレで手を洗い、ふと目の前の鏡を見た。
そこにはハンチング帽をかぶった見慣れない自分がいた。
スザクに言われた、"可愛い"、"似合う"といった言葉を思い出し、片手で帽子に手を当ててぎゅっと少しだけ強く握った。
テーブルに戻ると、スザクは既に会計を済ませていたようだった。
「ユキト、映画でも観ないかい?」
「え、映画…!?」
ユキトはまた驚いた。
暗殺チームの言葉とは思えなかった。
「なぁ、スザクさん、一体どうしたんだ?デートとか映画とか…。なんかおかしいよ」
ユキトは素直にそう言った。
「そうかな?まぁ、たまにはそういうときもあるんだよ」
ふふ、とスザクは笑った。
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