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ユキトはスザクの部屋で目を覚した。
「…スザクさん…」
スザクは、目を覚したユキトに気付くと、すぐに駆け寄った。
「ユキト、大丈夫か?」
「あぁ…なんか前にもこんなことあったな…俺が捕まって、スザクさんに助けてもらって、気付いたらスザクそんの部屋にいて…、俺は本当にダメだな。スザクさんに迷惑ばっかり…、わっ‥!」
ユキトが言い終わる前にスザクがガバッとユキトを抱きしめた。
「ダメなのは私の方だ。すまないユキト。もっと早くに来てやれなくて。こんなにボロボロになるまで助けに行けなかったなんて…私は自分が情けない…」
「…スザクさん…やめて…くれよ…」
ユキトはスザクの優しい温もりに涙を流しそうになる。
「あの、シャワー貸してくれないか?身体ベトベトで…」
ユキトは小さく言った。シャワーを使いたかったのは本当だが、それ以上に涙を見られたくなかった。
もうスザクの前で何度か泣いてしまったが、それでも見られたくなかった。
「あぁ、構わないよ」
スザクはユキトに浴室を案内した。
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