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【13】求める体……⑥
「あっ……うんっ……ああっ……うぅっ……」
男同士のセックスは予想以上に辛かった。ほとんど嵐だ。
優しかった周防も太いペニスを馴染ませた後は獣になった。両手は穏やかに陽向の腰をつかんではいるが、その場所だけ凶暴なまでに熱く激しい。陽向の中をマーキングするように体液を撒き散らしながら性器が前後する。挿れられるのも抜かれるのも辛い。痛くて、硬くて、いっぱいで、苦しいのに、嫌じゃなかった。幸せだった。周防と一つになっている、その事実が陽向を癒してくれた。
周防が陽向の前髪を上げてくれる。荒く息をしているとそのままおでこにキスされた。
「辛いか?」
「ううん」
「苦しくないか?」
「周防さんが……大きいから……やっぱり、ちょっとだけ……」
「そうか」
激しかった抽挿が緩やかなものになる。そうすると中にいる周防の形を感じる余裕ができた。張り出した傘の肉が陽向の中を奥まで開きながら進んでいる。道ができると少しだけ楽になった。わずかな快感も覚える。
「幸せだ……」
「周防さん」
「嬉しい……ただ嬉しい。夢を……夢を見ているみたいだ……」
「そう……ですね」
「こんなに幸せなことはない」
今、一つになっている。ようやく一つになれた。
ぎゅっと抱き締められて「愛してる」と溜息まじりに言われた。それが凄く幸せだった。
――俺だけに向けられた言葉。
そうであってほしいと願う。
周防の過去を知らない。あまり知りたくない。けれど、本当は凄く知りたい。
どうして人は今だけじゃ駄目なんだろう。好きな相手の過去や未来まで求めるのだろう。こうやって今、幸せなら、きっとその幸せは続いていく。小さいながらも途切れることなく続いていく。
周防とようやくセックスできた喜びと、それを急いだ自分の幼さを知る。俺はまだ愛を欲しがる子どもだ。周防のようには与えられない。情けないけれど、これが自分だ。
でも、したかった。周防と最後までしたかった。恋人としてきちんと抱かれたかった。
「……を、いや、抱くのは初めてなんだ。ずっと陽向を抱きたかった。けれど、壊しそうで怖かった。今も壊しそうだ」
「大丈夫です」
「セックスは愛情を生み出す行為だ。愛する相手に、ただ欲望を押しつけるようなことはしたくない。俺は陽向が傍にいてくれるだけでいい。それだけで幸せなんだ」
「周防さん……」
「陽向、愛してる。一生、大事にする」
「……嬉しいです」
「宝物にして永遠に愛する」
「もう充分されています」
そう、充分に愛されている。
それなのに、これ以上何が必要なんだろう。何を求めるんだろう。
もらった分だけ、いや、それよりもっと返さなきゃいけないのに――。
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