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【14】ある日、アヒルの日……➆
「ある日、アヒルの日、二人は出会いました。そして、幸せに暮らしました」
「なんだ、それは?」
「いや、なんか絵本みたいだなって。自分の人生にこんなハッピーエンドがやってくるなんて、今まで信じられませんでした。でも、夢じゃなくて現実なんですね」
「夢みたいに幸せだが、これが二人の現実だ」
「ですね」
陽向が微笑むと、周防も甘い笑顔を返してくれた。
「俺は一生、この温かい世界 を愛して守っていく」
「はい」
「ああ、そうだ」
周防が何か思いついたように立ち上がる。
「空と杏から入中に手紙が来てたぞ」
「本当ですか」
「ああ」
手渡されたそれは一通のエアメールで、中を開くと厚紙のカードが入っていた。ひなちゃんへとたどたどしい文字で書いてある。
『まろたんのしょおたのしかったね。またいっしょにまろたんみにいこうね』
色鉛筆で書かれた棒人間は全部で四人。
空と杏と周防、それに陽向だった。
嬉しくて涙が出る。
四人は一列に並んで手を繋いでいた。
そこに真っ赤な太陽の光が降り注いでいた。
――ああ、嬉しいな。
周防の隣にいれてよかったと、そしてあの三人の景色の中にいるのが自分でよかったと思った。
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