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【15】これからも、ずっと……②
二人はジムで汗をかいた後、屋上に設置されたスパで体を休めた。
太陽の光を浴びながらバスローブ姿で横になってシャンパンを飲む。最高の気分だ。
陽向が長椅子でウェーイとなっていると黒いバスローブ姿の男がやって来た。周防だ。背が高くてすらりとしていて、眩暈がするほどカッコいい。
「こら、日焼けするぞ」
「少しくらい大丈夫です」
「日光に当たりすぎるのはよくない」
また周防のお母さんみが顔を覗かせる。周防がコテージからパラソルを借りてきてくれた。傍に立ててくれる。
「あー、幸せだー」
「こんな感じでいいか?」
「あ、ありがとうございます。周防さんも横に来て下さい」
「全くピヨたんは自由だな」
周防はそう言いながら長椅子に横たわった。椅子からはみ出そうな長い脚と、軽く組まれた膝がバスローブから覗いていて、絵になるその姿が凄くセクシーだ。
「乾杯しよう」
「はい」
「仕事の成功と、ピヨたんの可愛さに乾杯」
「乾杯~」
フルートグラスを軽く合わせる。
シャンパンの泡の向こうに周防の端整な顔が見えた。どんな姿も男前でうっとりしてしまう。
「あ、そうだ」
「どうした?」
「周防さん、この間、社医の塩田さんに呼び出されてましたよね? あの……どこか悪いんですか? ちょっと心配で」
「いや、ずっと体が変で、社医の塩田に相談したら『恋の病』だと診断された。本当だろうか?」
陽向は思わずシャンパンを吹き出しそうになった。塩田さんマジで的確だな、と心の中で突っ込む。
「どうした?」
「いえ。いいです」
遅れて、冗談ではなく本気でそのことを相談したのかと、驚きと恐怖が手を繋いでやってきた。何を話したのだろうか。かなり気になる。
「あの、相談って……俺とのことをですか?」
「症状をだが」
ああ、よかったと胸を撫で下ろす。
周防はなまじ色々できるだけに、愛の示し方が独特で、恋愛感情が常に斜め上を行っている。頼むからファンタジーとコミットするのだけはやめてくれと思うが、頭のいい男の考えることはよく分からない。
「急性期を越えて、慢性期に入っていると言われた。どうやらこれは一生治らないようだ」
「そ、そうですか……」
「まあ、ちょうどいい」
不意に周防のスマホが鳴る。
仕事の件なので先に部屋に戻ってくれと言われた。
陽向はしばらくの間、スパを楽しんだ後、一人で部屋に戻った。
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