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【番外編】スケルトン・ラブ……⑧
二人は周防のマンションに戻って夕食を済ませた。
リビングのソファーの上でのんびりする。楽しかったことを思い出しながらスマホで撮った画像を眺めた。どれも綺麗に撮れていて満足する。
「最後、大変だったな」
「ホントに。でも、女の子もお母さんも無事でよかったですね」
「そうだな」
「周防さん、凄くカッコよかったです。すぐに助けに向かって。俺、そういうの尊敬します」
「陽向のフルパワーペダルも凄かったぞ。脚がくるくる回って、スワンが空に飛ぶかと思った」
(動きが完全にアニメだったな……)
その言い方に思わず吹き出しそうになる。
「スワンボートが壊れなくてよかったですね」
「あの状態であと一周していたら、俺達も水没していただろうな」
確かに最後の方、変な音がしていた。とにかく全員無事でよかった。
「おいで」
「ん」
周防に両腕をつかまれる。優しく引き寄せられて顔を近づけられた。
いつもより穏やかな表情の周防と目が合い、心臓がどくりと音を立てる。その甘い視線に体が溶けそうになった。
(可愛いな。天使だ)
(ああもう、頭からかぷっと食べてしまいたい)
「一緒にお風呂に入ろうか」
――お風呂……。
やっぱり、俺は食べられるんだろうか。
「ん? どうした?」
「恥ずかしい……です」
「今日は、バスタブの中をあわあわにしてある。疲れを取ろう」
鼻先でキスされる。触れたまま、指の背でちょんちょんと頬をくすぐられた。
(陽向は小さいな……)
(ほっぺが甘いメレンゲみたいだ)
(白くて可愛い……)
陽向が肩を竦めると、周防が微笑んだ。そのまま手を引かれながら浴室へ向かった。
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