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【13】-2

「襲ったのはこいつらか」 「あ、そうです。この人たち……」  チッと、舌打ちが聞こえた。 「なんで、あの時言わなかった」 「え……」  なんで、と言われても、特に理由があって隠したわけではない。ただ、詳しく話すタイミングがなかっただけだ。  堀は和希を見下ろしたまま、苛ついた調子で慎一に聞いた。 「今、ガキどもを仕切ってるのは誰だ」  慎一は少し考えて「たぶん、テルだと思います」と言った。 「だったら、そいつに言っとけ。調子に乗るな。届けが出されれば、こっちは動くしかないんだ」  慎一が黙っていると、「そいつがどこにいるか、知ってるんだろ」と堀は言った。 「いいえ」 「だったら、探して伝えろ」  短く言い捨てて、堀は店を出ていった。  堀が立ち去ると、慎一が和希を呼んだ。 「和希、ちょっといい?」  カウンターで何か言っている女性に軽く会釈をし、裏口の戸を開けて和希を外に連れだす。二階に続く階段とゴミ置き場があるだけの小さな空間で、慎一は少しの間、言葉を探して黙り込んでいた。 「……ごめん」 「え……、何が?」

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