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【14】-5
「何、言ってんだよ」
和希は頭を上げて、強く首を振った。
「ほかの人にさわれるようになっても、僕は、慎一がいい。慎一に一番さわりたいし、さわってほしい」
「和希……」
「慎一にさわると安心するし、さわられると気持ちいい。もっとさわりたくなるし、もっとさわってほしくなる」
「それは……、ちょっとヤバいな……」
視線を泳がせた慎一は「めっちゃ、ヤバいだろ」と口元を押さえた。
耳が赤かった。
「慎一にしかさわれなくて、いい」
「バカ和希」
バカってなんだよと思う前に、引き寄せられて唇を奪われた。
「……っ」
「だから、目、閉じてって」
慌ててぎゅっと目をつぶると、二度目は長くて深いキスになった。
そっと探るように忍び込んできた舌が和希の舌にふれた。脳の奥でカメラのフラッシュみたいに火花が弾けた。
慎一のシャツを握りしめて、絡みついてくる舌に懸命に応えた。口の中を全部舐められて、頭も身体もくらくらした。
茹でたタコのように赤くなってもじもじしていると、慎一が布団を上げて手招いた。
「おいで、和希」
長い腕に抱き寄せられて、心臓の鼓動が速くなる。唇をぎゅっと結んで、慎一の肩におでこを押し付けた。
「怖がらなくていいよ。いきなり抱こうとは思ってないから」
「抱く」という単語に心臓が跳ねた。
それはおだやかな抱擁のことではない。セックスするという意味だ。
セックス……。その言葉の響きだけで、彫像のようにガチガチに固くなった。
「そんなふうに緊張されると、かえってヤバいだろ……」
力を抜いて、と笑われる。
こくりと頷くと、顎を救われて自然と唇が重なった。開いた唇から熱い舌が忍び込んできて、和希の舌を優しく包んだ。
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