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第22話 彼の部屋で過ごす休日2
「ごめんっ、
体調悪いのは嘘
その、いきなりこんな豪華なタワーマンションに
連れて来られてパニックというか
ここに住んでるみたいだし、
もしかしたら、お金持ちの女の人に囲まれて住ませてもらってるのかなとか
そんなとこに自分が来てもいいのかなとか
それに、たとえそうじゃなくても
こんなおしゃれなところに似合わない手土産持ってきて後悔というか惨めに感じて恥ずかしくなって…」
と必死に言葉を紡ぐ瑞樹
「ふははっ」といつものように笑う大駕は
後ろから抱きしめていた格好から、
瑞樹の体を半回転させ向かいあわせると
「いや、瑞樹さんの中の俺のイメージって何?(笑)
金持ちの女に囲まれてるって
そんなヒモやってる情け無いイメージがあるとか
心外なんだけど」
と言ってわざと拗ねた態度を取る
「それに手土産ってそれですか?
さっきから手に持ってる
別によかったのに」
と言って大駕は瑞樹が持っていた紙袋を取り上げる
「ちょっ、待って、ダメっ!」
と言う瑞樹の抵抗は敵わない
「へーっ、うまそう!
ひとり暮らしの男にぴったりじゃないですか
さすが瑞樹さん」
と言って大駕は自分が持ってきた
肉味噌やラー油などが入ったご飯のお供セット
を手に持って喜んでいる
その手土産を選んだ意図を見抜かれて
恥ずかしくもあり嬉しくもある瑞樹は、さすがなのは
大駕の方だと感じる
そして瑞樹はさっきの言葉の
「ひとり暮らし」
という部分に引っかかって
「ひとり暮らしなんだ」
と嬉し気に呟く
「そうですよ(笑)
でもこれでもっと謎が深まってしまいますね
謎多き男でいるのも惹かれますけど
瑞樹さんには俺に対する不信感は
1ミリも持って欲しくないんで言いますね
でもそのまま正解言うのも面白くないんで
ヒントあげます
考えてみてください
ヒントは
俺の苗字と
俺たちが勤める会社が傘下のグループ会社の名前」
と大駕はいきなりクイズを始めた
「えーとっ、藤原大駕でしょ
そして
うちの会社の親会社のグループは藤原商事グループ
ってもしかして大駕って社長?!」
そう素っ頓狂な答えを言う瑞樹に
大駕は拍子抜けしながら
「いや〜、すっごい斜めな回答ですね(笑)
まーそんな天然なところも可愛いんですけどね
正確には社長の“息子”です」
と言う
可愛いと言われ顔が少し熱くなりながら瑞樹は
「じゃあ将来は会社継ぐの?」
と聞くと
「いや、まだそれは決めかねてて
でもいざ継ぐってなった時に
ちょっとでも会社の事業について知っておいた方がいいし
社会経験にもなると思って
今の会社で長期インターンしてるんです
苗字が藤原だから気づいて最初聞いてくる人は何人かいたけど皆さん気を遣ってそっとしてくれてます
たぶん知らないの瑞樹さんだけだと思いますよ
瑞樹さんの俺に対する興味が薄いのは悲しいです」
と大駕はわざとらしく落ち込んだふりをしながら
瑞樹をからかう
「でも今は僕だって
大駕のこと知りたいし、
大駕にも僕のこと知って欲しいって思ってるっ
だから今日家に呼んでもらえて嬉しい」
と素直に告げ
瑞樹は大駕の服の裾を掴み顔を見上げる
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