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1章5話

辺りが焼けたオレンジに染まる。葵がばいばい!とみんなに挨拶していくのについて行き、やがて二人になった。 「お前って、誰にでもあんな感じなの?」 「ん?どういう感じなの俺」 「ずっとにこにこしてて、全部肯定する感じ」 まさか!とすぐに返ってきた。でもその様子しか見たことないから、無意識なのかと衝撃を受けてしまう。 「今日は、すごい楽しかったから笑い止まんなかった」 爆笑してたみたいな言い回しだけど合ってるのか。言ってることがふわふわしてる気がする。葵といると、気分がほわほわとしてしまって言いたいことを忘れてしまいかける。危ないな、と思い先程の行動について言及する。 「……さっきは、ごめん。」 眉に皺寄せて何かあったっけ、と考えている様子に安堵する。葵にも気持ち悪がられていたらと悩んでいたため、すごく気持ちが楽になった。 「いきなり手掴んだやつ、今思い返して変なことしたなって」 「あー、え?そんな気にしてたの?全然いいのに……。はいっ」 葵がさっと手を握った。突然の行動に驚いて思わず振り払おうとするも、予想していたのかぎゅっと掴まれていたので離れることはなかった。 「これでおあいこ」 そう言って悪戯に笑う。かわいいな。と思わずどきりとした。 「じゃあお前も謝れよ」 「あはは。ごめんね北斗くん。」 そう言って離そうとする手をこちら側から握り直す。自分から掴んだ手前こうなると離しにくいようで、再度ぎゅっと握り合う。子供体温なのかじんわりと熱が伝わってくる。 「今日さ、エチュードしたじゃん。……どうだった?」 葵が思い出したように尋ねた。客観的な意見を知りたがっているのだろうから、素直な感想を述べる。 「お前は、悪くなかった。器用貧乏なところがあるんだろうな。なんにでもすぐコツ掴んでた気がするけど、エチュードに関しては相手のフォローに徹してたからか見せ場作れなかったなって印象がある」 ふむふむ、と葵が頷く。どれも俺が言っていいことなのかわからないけど、と告げると、なんで?と疑問で返された。俺は演技が人前でできないから上からもの言える立場じゃない、と近況を伝えてみると、葵は真剣な顔で悩んでいた。 「それって、一対一でもだめなのかな」 「一対一?」 「2人で、練習しない?」 それでだんだん人数を増やしていこうよ、と提案される。確かにそれなら、葵との一対一からなら緊張もしないだろう。 「俺も練習して、勉強したいこといっぱいあるからお互いにいいと思うんだけど……どう?」 こてんと葵が首を傾げる。素であざとい。断る理由なんてない。 「お前も結構真面目だな」 「北斗くんに褒められるの嬉しいなあ」 「別に褒めてはないけど」 「えっ、うわあめっちゃ恥ずかしい」 えへへと照れたように笑う。その笑顔がなぜだかたまらなく愛おしく感じて、ただ混乱した。

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