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20これがスパダリというやつか
「・・・・んっ」
カーテン越しに覗く柔らかい光に当てられて、イオはまだ重い瞼を開いた。
「身体が重い」
「すまなかった」
「えっ」
後ろから抱き込まれ、それがヴェルジークだとわかるとイオは顔を赤くする。
「おはよう、イオ」
「ぉ、おはよう・・ヴェルジーク」
「昨夜は君が可愛いすぎて歯止めが効かなかった。身体はどうだ?」
「う、うん、大丈夫」
「起きられるか?」
「ぅ、うん」
先に身を起こしたヴェルジークを振り返って見ると、イオはお互い裸だと改めて認識してしまいシーツに潜り込む。
「ん?どうした、やはり身体が辛いのか?今日は部屋で休んでいなさい、ティオドールには俺から言っておこう。朝食は、柔らかい野菜のスープがいいかな?何か食べたい物はあるかい?」
「ありがとう・・・スープでいいよ」
「わかった。寝ている間に軽く身体を拭いたが、後で風呂に入れてあげよう。待っててくれ」
「あ、ありがとう・・・」
「イオ」
「なッ、なに?」
「愛してる」
「!!!!!!」
優しくイオの唇にキスしてから身支度を整えると、ヴェルジークは部屋を出た。
扉が閉まると、イオはシーツの中で身悶え始める。
「ああああああッ!あれがスパダリっていうやつなのかー!もうヴェルジークの顔見れない・・・いや待てよ?オレから、す、好きとか言ってない・・・」
男前な美丈夫で大貴族で騎士、性格もいい。どこをとっても優良物件のようなヴェルジークと、恋仲になったイオはこの先どうしようと悶悶していた。
恋愛をした事もないイオにとっては、初めての事でしかも同性だ。
「待て待て待て、ヴェルジークのことは好きなんだよな?好きだから、ぇ・・・エッチしたんだよな。確かに人は見た目じゃないけど、優しくて真面目で男前美形だしお金持ちだし職業は安定してるのか?まぁ、この世界では申し分ない身分だよな。よし!オレもす、好きって言おう!ヴェルジーク、す、すすすすすすすす」
そうやってしばらくベッドの上でゴロゴロしていると、ヴェルジークがやって来てイオを不思議そうに見ていた。
「何やってるんだ?」
「朝のラジオ体操?」
「体操?体に差し支えるぞ、じっとしていなさい。可愛いな・・・イオ」
「か、可愛いって・・・んっ」
「ん・・イオ、可愛い・・・」
「は・・ぁ、んぅ・・・・ヴェルジーク、朝からダメだ」
「少しだけ、少しだけだから・・・」
「あ、ぁっ、や、・・・んぁ」
口にキスされ、そのまま押し倒されると口以外もさんざん舐め回されてしまった。またぐったりしてしまったイオに甲斐甲斐しく朝食を食べさせたヴェルジークは、屋敷の使用人達に冷ややかな目線を浴びながらイオを風呂に入れてやるのだった。
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