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第7話
リードは押し付けられたホッチナーの唇がほんの少し離れた時、ただ息をしようとしただけだった。
だがホッチナーはその小さな隙間から舌をねじ込んできた。
リードの舌は難なくホッチナーの舌に捕らえられ、痛いくらいしゃぶられる。
「…ん、んんっ…」
ホッチナーの大きな手に頭を押さえ付けられ、リードは何も出来ず、ホッチナーにされるがままだ。
何分そうしていただろう、やっと舌が解かれたかと思うと今度は執拗に口内を舐め回される。
リードはホッチナーの勢いに、自分が何処かに飛んで行きそうで、必死にシーツを掴んでいた。
するとチュッとリップ音を立てて唇が離れた。
リードが必死に酸素を吸い込もうとしていると、リードの唇から零れ落ちたどちらのものとも知れない唾液をホッチナーが舐め取る。
リードは恥ずかしくて堪らなくて震える声で、「ホッチ…やめて…」と言った。
ホッチナーが「何を?」と言ってリードの細い首に吸い付く。
リードが小さく「…ああっ…」と呻く。
ホッチナーは味わう様にリードの首筋を舐めては吸う。
その合間にホッチナーが「止めて欲しいのか?」と訊いてくる。
リードが涙声で「…わ、わかんないっ…」と答えると、耳朶を甘噛されてリードは「ひゃあ…っ…」と声を上げた。
ホッチナーが囁く。
「リード、俺が本当にお前一人で食事会に行かせると思ってたのか?」
「…なに…?
なに、言って…」
「答えろ」
そう言う癖に、ホッチナーはまたリードの唇を塞ぐ。
舌の絡まり合う感触が段々とリードの強張った口元を緩めていく。
「…うっ…んんっ…は…」
リードはホッチナーにもう頭を抑えられていない事も気付かず、ホッチナーとのキスに夢中になっていく。
するとホッチナーの素肌がリードに触れた。
リードが目尻を赤くして、とろんとした瞳を薄っすらと開くと、ホッチナーはいつの間にか全裸でリードの上に居た。
リードはと言うと、バスローブはとっくに乱れ、裸も同然で、頭に被っていたタオルに至っては床の上だ。
ホッチナーがリードの唇を開放する。
そして今度はリードの顔中にキスを落としながら言う。
「リード、答えろ」
「…だから…っ…なんのことか…わかんない…っ…」
リードがとうとう涙をポロポロ零して泣き出す。
リードの零れる涙に、ホッチナーが唇を当てていく。
リードが「ホッチ…聞いて…」とか細い声で言って、ホッチナーはキスを一旦中断するとリードの瞳を見て目を合わた。
ホッチナーの目に浮かんでいる劣情にリードは気付かない。
リードは真っ赤な顔をして、言った。
「…身体が変なんだ…」
「どこが?」
「い、言えない…恥ずかしいよ…」
「勃ってるんだろ?
分かってる」
「…でも…!
こんなに苦しいの初めてだもん!
ズキズキして苦しい…!
ホッチ…助けて…!」
ホッチナーの喉がゴクッと鳴る。
そしてフッと笑うと、「分かった」と言うやいなや、リードの雄をやさしく掴んだ。
「あんっ…!」
「リード、ビショビショに濡れてるぞ。
そんなにキスが気持ち良かったのか?」
「…だから…わかんない…っ…」
「じゃあ教えてやる」
そう言うとホッチナーはリードの蜜をくるくるとリードのペニスに広げ出す。
そして容赦無く扱き出した。
リードが「アアッ…!」と甲高い声を上げて仰け反る。
グチュグチュと音を立てて扱かれ、リードは肩まで真っ赤に染まて、喘ぐことしか出来ない。
そしてリードが絶頂を迎えるなとホッチナーが思った時、リードが泣きながら言った。
「…ホッチ…このままじゃ…やだ…怖いよ…お願い…キスして…」
ホッチナーの目が見開かれる。
「…ホッチ…キス…おねが…い…」
ホッチナーがリードの唇にやさしく唇を重ねる。
リードが舌を出す。
ホッチナーが手を休めず、リードと舌を絡める。
そしてリードは声無き悲鳴を上げ、ホッチナーの手の中で白濁を散らした。
リードが長い睫毛を伏せ、ハアハアと荒く息をしていると、ホッチナーがリードの額にキスをして言った。
「気持ち良かったのか?」
リードは答えられなかった。
こんな快感は初めてで、瞼の下はチカチカしていて、まるで現実とは思えない。
ホッチナーの切羽詰まった声がする。
「…リード…俺も限界だ。
今度は一緒にイこう」
「…いっしょ…」
「そうだ。
これが分かるだろ?」
リードのペニスに猛った雄が擦り付けられる。
リードの身体がビクッと震える。
「大丈夫だ。
ほら…」
ホッチナーがリードと唇を合わせると、リードの雄と自分の雄を重ねて、同時に扱き出す。
リードが朦朧とした意識の中、小さく口を開ける。
「リード…キスしながらイきたいのか?」
「…ん…」
「お前は本当にかわいいな」
ホッチナーは愛しげにポツリと言うと、リードの口を塞ぎ舌と舌を絡める。
そしてリードの雄と自分の雄をゴリゴリと上下に擦り付けながら、巧みな指使いで二本同時に扱く。
リードの雄がまた勃ち上がってゆく。
二本の雄はぐちゃぐちゃに濡れて、卑猥な音を立てている。
ホッチナーの指先に力が込もる。
ホッチナーとリードの舌と舌が離れる。
ホッチナーが唇を離し、「…リード…好きだ…」と言った瞬間、二人は同時に爆ぜた。
長い睫毛をしっとりと濡らし、瞳を閉じて身体を震わせ荒く呼吸をしているリードを、ホッチナーがそっと抱きしめる。
そしてリードの瞼にキスを落とすと、「大丈夫か?」と言った。
リードは何も答えない。
ホッチナーがやさしく、「喉が乾いただろう?飲み物を持って来る。先にシャワー浴びるか?」と訊く。
リードがホッチナーにしがみつく。
「…離れないで…」
「リード…。
でも何か飲んだ方が良い。
身体も気持ち悪いだろう?」
リードがゆっくりと瞳を開ける。
そして上目遣いでホッチナーを見上げると、「…じゃあ1分で戻って来てよ…」と拗ねた声を出す。
ホッチナーがリードの額にキスをする。
「30秒で戻ってくる」
そうしてホッチナーは本当に30秒でペットボトルのミネラルウォーターと濡れタオルを二つ持って戻って来た。
ホッチナーがリードを支えて起こす。
「まず水を飲め」
「…ん…」
ホッチナーがリードの口にペットボトルを当ててやると、リードはコクコクとミネラルウォーターを飲んだ。
それからホッチナーはリードを横にすると、白濁が飛び散った跡をを丁寧に拭いてやった。
リードは恥かしそうに真っ赤になって、横を向いて目をぎゅっと瞑っていたが、ホッチナーに逆らうことはしなかった。
そうしてホッチナーが自分もパパッと汚れを拭くと残りのミネラルウォーターを一気に飲み干し、ベッドに横になりリードに腕枕をしてやった。
か細いリードはホッチナーの腕の中にすっぽりと入ってしまう、
リードが嬉しそうにホッチナーの胸に顔を寄せる。
リードから甘い香りが漂う。
ホッチナーはリードの額にキスをすると、「眠いだろうがこれだけは聞いてくれ」と言った。
リードが「うん」と答える。
「アルマン家の食事会に行かせるのは仕方無いと判断したが、お前の安全は考えていた。
非常用の送信機を持たせて、俺が待機しているつもりだったんだ。
だがモーガンに先を越された。
モーガンがああ言う以上、彼は引き下がらないだろうしな。
それにモーガンのやる気を削ぎたくなくて、彼に任せることにした。
決してお前を危険に晒す気は無かったし、絶対にそんなことはしない。
分かってくれるか?」
「うん。
僕、ホッチも皆も信用してるから」
「そうか。
ありがとう」
ホッチナーがまたリードの額にキスを落とす。
「それから…こうなってしまったことも話しておきたい…」
「…ん…」
「お前、覗き穴を確認しなかっただろう?
相手が誰だか分からないのにドアを開けるなんて絶対に駄目だ。
どんなに危険だか分かるか?
それにバスローブ姿で…はだけてたんだぞ…!前が!
そんな無防備な姿を見せるな!
せめて何か着てから…」
そこまで言ってホッチナーは黙った。
リードのすやすやとした寝息が聞こえてきたからだ。
ホッチナーはため息をつくと、リードを抱く腕にほんの少し力を込める。
リードが起きてしまわないように。
「せめて謝らせてくれ。
強引なことをしてすまない…」
ホッチナーはそう言うと、上気して赤くなったリードの唇に触れるだけのキスをした。
リードは安心しきって眠っていた。
目が覚めそうだったが、目覚めたくなくて、モゾモゾしていると「起きたか」とホッチナーの声がした。
そして気が付いた。
自分もホッチナーも素っ裸だということに。
リードの頭の中に昨夜の出来事が蘇る。
リードがカーッと赤くなる。
「ホッチ…!」
「何だ?
あと五分しても起きなかったら起こそうと思ってた。
丁度良かったな。
おはよう、リード」
ホッチナーはリードの顎をクイッと掴み上を向かせると、チュッと唇にキスをする。
「おは、おはよう…ホッチ…あの…」
「ん?
何だ?」
ホッチナーがリードを抱きしめ、リードのふわふわの髪に顔を埋める。
「えっと…えっと…ぼ、僕達…はだ、裸だね…」
「そうだな。
お前があのまま眠ってしまったからな。
でも今朝はお前が起きるまで一緒に居た。
寂しく無いだろ?」
「う、うん…」
ホッチナーが今度はリードの頭の天辺にキスをする。
「今日は朝メシを一緒に食べようか?
今6時だからシャワーを浴びても十分時間がある。
7時にロビーで待ち合わせるのはどうだ?」
「…いいよ…」
リードがチラッとホッチナーを見る。
リードの瞳は頼りなく揺れていて、真っ赤な頬から続く真っ白な細い首筋と共に、ホッチナーの庇護欲と劣情を掻き立てる。
ホッチナーはリードを抱き上げると、そのままバスルームに向かった。
モーガンが目を丸くする。
「リード…珍しいな。
お前がそんなに朝から食うなんて」
「そう?
僕だって食べる時は食べるんだよ!」
JJがプンプンした態度で食べ物を頬張るリードを見て腕組みをする。
「スペンス、一体何があったの?
後で苦しいって言っても知らないよ?」
「別にいいよ!」
モーガンとJJとエミリーが目配せを交わす。
エミリーがやさしく問い掛ける。
「ねえ、リード。
ホッチに何か言われた?」
リードがキッとエミリーを睨む。
「ホッチの名前は出さないでよ!
ホッチの話はしたく無いっ!」
モーガンがテーブルに身を乗り出す。
「おいおい、どうした?
昨夜ホッチに説教でもくらったのか?」
リードが今度はモーガンをキッと睨む。
「昨夜のことは気にしてない!
でもホッチは朝から…」
そこまで言うとリードは黙った。
「朝から、どうした?」
「言えないし、言いたく無い!
兎に角、ホッチの名前は出さないで!
聞きたくないから!
不愉快!」
エミリーが苦笑する。
「でも仕事中はどうするの?」
「仕事中は平気!
脳が自動的に仕事モードに切り替わるし、僕、ポーカーフェイス得意だから!」
JJが困りきった顔になる。
「スペンス、私達スペンスが心配なの。
今夜はアルマン家の食事会に一人で行かなきゃならないんだよ?」
「モーガンが守ってくれるよ!」
モーガンが頷く。
「ああ、俺はお前を絶対に守るよ。
だけどアルマンの家の中ではお前は一人だ。
そんなに感情的になってて、ランディの話を聞き出せんのか?」
「出来る!
一人でも平気」
「リード…」
「平気だよっ!」
リードはそう言うともう何も話そうとしなかった。
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