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第10話

モーガンはそれからアルマン家を望遠カメラを構えて見張っていた。 勿論、銃は装備済みだし、受信機は目の前のダッシュボードの上に置いてある。 そして1時間半を過ぎると、モーガンは信じられない光景を目にした。 アルマン家の正面玄関が開き、190以上はある大柄の男にリードがお姫様抱っこされて出て来たのだ。 リードは真っ赤な顔をして、ぐったりとその男に身を任せている。 モーガンは直ぐにでも車を飛び出したかったが、リードは発信機を押していないと思い直し、写真を取る事に専念した。 モーガンが夢中でその光景を写真に収めていると、リードを抱きかかえている男の後ろを歩いていた50代前半の燕尾服を着た男が、その男を抜き去り、門を出て、一直線にモーガンの乗るSUVに向かって足早に近付いて来る。 モーガンは燕尾服の男を連写すると、カメラを助手席に置いた。 燕尾服を着た男が車の窓をコンコンとノックする。 モーガンが窓を下げると、燕尾服の男は恭しく頭を下げた。 「スペンサー・リードさまの同僚の方でいらっしゃいますね。 実はリードさまが酔ってしまわれて、トラヴィスさまがお運び致しました。 助手席にお乗せして宜しいでしょうか?」 モーガンがドアを開け、車から飛び降りる。 「いえ、後部座席に寝かせて行きます」 モーガンがそう言って後部座席のドアを開けると、「ドクター・リード。モーガン捜査官の車に着きましたよ」と別の男の声がした。 モーガンが振り返ると、リードを抱きかかえていたのはトラヴィス・アルマンだった。 モーガンが無言で両手を出す。 トラヴィスがリードを差し出す。 モーガンは無言のままリードを受け取り、後部座席に寝かせる。 そしてドアを閉めると言った。 「リードは何を飲んだんですか?」 トラヴィスが申し訳無さそうに笑う。 「実は姉はワイン類全般が苦手なんです。 社交辞令の為にほんの少し口にすることはありますが。 それでランディの話になったらカクテルを飲みだして」 「カクテル? どんな?」 「ボイラーメーカーです」 「ボイラーメーカー!? リードも飲んだんですか!?」 「姉に付き合って下さった。 やさしい方ですね、ドクター・リードは」 「あなた医者でしょう? リードが酔い潰れるまで放っておいたんですか?」 「すみません。 病院から緩急の電話が入りまして、30分程離席していたんです。 そして戻ったらこの状態でした」 「そうですか。 では失礼します」 モーガンはそれだけ言うと、運転席に乗り込み車を発車させた。 モーガンがロサンゼルス市警察のBAUの本部にリードを抱きかかえて戻ると、本部で待機していたホッチナーとロッシとエミリーとJJがギョッとした顔になる。 ホッチナーを筆頭に全員がモーガンの周りに集まる。 ホッチナーがリードの顔を見ると、モーガンを正面から見据える。 「リードはただ酔っているだけか?」 「ああ、医者のトラヴィスがそう言ってたからな」 「トラヴィスがリードを運んだのか?」 「そう。 執事連れで俺と同じ。 リードをお姫様抱っこして車まで連れて来た」 「リードは何を飲んだ?」 「乾杯はワインかシャンパンだと思う。 だけどシャーロットはワイン類が苦手で、リードはシャーロットに付き合ってボイラーメーカーを飲んだとトラヴィスが言ってた。 ドクター・リードはやさしい方ですね、だとさ。 トラヴィスに病院から緊急連絡が入った30分の間に酔い潰れたらしくて、トラヴィスは気付かなかったらしい」 エミリーが「椅子を並べます。リードを寝かせてやらなきゃ」と言うと、ホッチナーが「いや、このままホテルに連れて帰る。2〜3時間は起きないだろう。リードからアルマン姉弟の話を聞いて、それと被害者の情報を突き合わせ、明日の朝プロファイルを発表する。悪いが今夜0時に俺の部屋に集合してくれ」と言って、あっという間に自分の荷物を持ちリードの鞄を肩から下げてモーガンの腕からリードを自分の腕に移すと、リードを抱きかかえてさっさと本部を出て行った。 ポカンとホッチナーを見送るエミリーとJJ。 モーガンは何か言いたそうだ。 そんな三人にロッシが笑顔で言う。 「俺達もホテルに戻ろう。 少しでも身体を休めないと。 リードの話次第では、寝るのが午前2時過ぎになっちまうぞ」 モーガンが頷く。 「そうですね。 エミリー、JJ、ホテルに戻ろうぜ」 エミリーとJJも「ええ」と答えると帰り支度を始めた。 ホッチナーはリードのホテルの部屋で、リードをベッドに横たえた。 まず靴を脱がし、タイを取ってやり、シャツのボタンを三つ外す。 それからジャケットを脱がし、ベルトを外しスラックスを脱がしてやる。 するとリードが「…くつした…」と小さな声で言った。 ホッチナーが靴下を脱がしてやりながら、「リード、目が覚めたのか?」と訊く。 リードがクスクスと笑う。 「…ほっちぃ…ほっちだぁ…」 「そうだ。 喉乾いてないか?」 「…んー…」 「乾いてるんだな。 ちょっと待ってろ」 ホッチナーが冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出し、グラスに注ぐとストローを刺す。 それからリードの枕元に持って行く。 「リード、水だ。 飲め」 「…んー…きすぅ…」 「何だ?」 「きす…してよ…そしたら…のんでも、いい…」 「…馬鹿だな。 俺にそんなこと言うな」 ホッチナーがストローをリードの唇に当てると、リードはえへへと笑ってストローで水を飲む。 酒のせいで赤くなった唇、上下する桜色の喉。 長い睫毛の奥から覗く、蕩ける様な眼差し。 その全てがホッチナーの目を釘付けにする。 リードがストローから唇を離す。 そしてまた「…きす…」と回らない口調で呟く。 ホッチナーが音も立てずベッドサイドにグラスを置く。 そしてリードの身体に馬乗りになる。 リードは未だ蕩ける様な眼差しで、ただ、ホッチナーを見詰めている。 ホッチナーがリードの頬を両手で包む。 「リード、お前は酔ってる。 水分を取って仮眠を取れ。 アルマン家の話を聞いて今夜中にプロファイルを固める。 分かるか?」 「だからぁ…きすしてくれたら…おみずのむ〜」 「リード! 俺は…お前に触れたら…!」 「…ほっち…ぼくと…きすするのいやなんだ…」 リードの瞳に涙が浮かぶ。 ホッチナーは「馬鹿なのはお前もだ」と言うと、噛み付く様なキスをした。 リードは約束通り、ホッチナーがキスをすれば、水を飲んだ。 一度にたった一口だが。 そして甘ったるい声で「ほっち…ほっちぃ…」と次のキスを強請る。 ホッチナーはその度、啄む様なキスをする。 ホッチナーはグラスが空になったのを確認すると、「さあもう寝ろ」と理性を最大限掻き集めて言った。 するとリードが「眠くなぃ〜シャワー浴びたい〜」と言い出した。 ホッチナーが何とか冷静な声で言う。 「リード、酔ってシャワーを浴びるのは危険だ。 起きたら浴びれば良い。 まだ今夜の集合に時間はたっぷりある」 リードがニパッと笑う。 「ほっちがいれば大丈夫だよぉ〜」 「リード、今朝のことを忘れたのか? 一緒にシャワーを浴びれば、俺はお前に手を出さずにはいられない」 「…ん…いいよ…てゆうかほっちが洗って〜」 ホッチナーが思わず眉間を指先で摘む。 すると涙を含んだリードの甘ったるい声がした。 ただ、一言。 「…おねがい…」と。 それはホッチナーの理性を壊すのに十分な『力』を持っていた。 ホッチナーはリードからシャツと下着を剥ぎ取ると、自分も全裸になった。 そしてリードを抱きかかえると、バスルームに向かった。 リードがフラフラして危ないので、ホッチナーはリードを空のバスタブに座らせた。 お湯を張らなかったのはリードが酔っているので危険があるからだ。 まず自分の髪と身体をざっと洗うと、リードの髪と身体を念入りに洗ってやる。 リードはホッチナーが泡立てたもこもこの泡にご機嫌で、リードの身体を洗うホッチナーを邪魔する事も無かった。 ただホッチナーはリードの足の間は触れられなかった。 触れたらどうなるか分かっていたし、リードは気付いていない様だが、ホッチナーの雄はリードとキスを交わしている間から既に硬く育っていたからだ。 リードがホッチナーから受け取った両手一杯の泡を、殆ど無毛な淡い茂みとピンク色のペニスに無造作に塗りたくり、尻に向かって指を滑らせる。 ホッチナーは目を逸らしていたが、リードは「おしまい〜」と言うと突然立ち上がった。 ツルッと足を滑らせるリード。 ホッチナーが慌てて支える。 「リード! 立つなと言っただろう!?」 リードが「…ふぇっ…こわかった…」と言って泣き出す。 ホッチナーにしがみつく泡だらけのリードを、ホッチナーも強く抱きしめる。 触れ合う頬と頬。 リードが「…ほっちぃ…きす、して…」と呟く。 ホッチナーが「駄目だ」と即答する。 「…なんでぇ〜?…ほっち…ぼくがきらいなの…?」 リードのしくしく泣く声がホッチナーの耳に大きく響く。 ホッチナーが歯を食いしばって、何とか声を絞り出す。 「好きだから出来ない。 酔ってるお前に手を出したく無い」 「…ほっち…いみ…わかんない…きすは…?」 「キスをすればお前の身体に触るんだぞ!? 俺は! 今朝のように」 リードが覚束無い涙声で囁く。 「…ほっちならいいよ…」 「…リード!」 「…だから…きすして…おねがい…」 それは一瞬の出来事だった。 ホッチナーがリードを壁に押し付ける。 そして乱暴に唇を合わせると、離し、「口を開けろ」と鼻先が触れる距離で言う。 リードは嬉しそうに口をほんの少し開ける。 ホッチナーの舌がリードの口内に難なく侵入する。 リードの舌とホッチナーの舌が絡み合う。 リードは自分からは動かないが、ホッチナーのされるがままだ。 ホッチナーが激しいキスをを続けながら、猛った雄をリードの雄に擦り付ける。 リード腰が揺れる。 ホッチナーがリードの雄を掴み、ゆるゆると扱く。 泡のせいでリードの雄はぬるぬると滑る。 リードが「…ん…ふっ…んん…」と甘い吐息を漏らすと、ホッチナーはリードの唇を解放した。 するとリードが蕩けた瞳で、甘ったるい声で、たどたどしく、「…きもち、いい…」と言った。 ホッチナーは『何か』が頭の中で切れた。 そうしてリードの雄が緩く勃つと、自身と同時に扱き出す。 「…ああん…いいっ…ほっちぃ…っ…」 ホッチナーが「しっかり掴まってろ」と言うと、リードはホッチナーの首に腕を回した。 リードは呆気なく濃いピンク色になった雄から白濁を散らした。 力が抜けそうになるリードに、ホッチナーが「しっかり掴まってろと言っただろ」と低い声で告げる。 リードがホッチナーの首に回した手に力を込める。 するとホッチナーの片手がリードの尻を掴んだ。 リードは立っているのが精一杯なのと、放出した余韻に酔っているようで、気にもしていない。 そしてホッチナーの手は一度リードの泡だらけの尻をがっしりと掴むと、素早く手を滑らせ、人差し指をリードの蕾に差し込んだ。 ホッチナーのごつごつとした人差し指は、泡のせいで難なく蕾に侵入する。 「…あんっ…」 リードが仰け反る。 ホッチナーの人差し指はうねうねとリードの蕾の奥へと進んでゆく。 そしてホッチナーはまだ猛っている雄をリードの雄へ擦り付けながら、もう一方の片手でリードの雄をまた扱き出す。 リードが瞳を開けて上目遣いでホッチナーを見る。 「…ほっちぃ…なんか…へん…」 「変だけじゃないだろ?」 「…ん…」 そしてホッチナーの長い指はリードの知らない蕾の中の『感じる場所』をゴリッと擦った。 リードが「アアッ…!」と甲高い声を上げる。 ホッチナーは中を擦り、リード自身を扱く手を緩めない。 リードはギュッと瞳を閉じて、背筋を駆け抜ける電気のような快感に身を委ねている。 ホッチナーが荒い息の中、囁く。 「変だけか? リード」 「…うぁ…は…あ、ん…」 「正直に言え」 「…きもち…いい…いい…ッ…」 「良し。 良い子だな」 ホッチナーが緩く勃っているリード自身と、はち切れんばかりの自分の雄を同時に扱く。 「出すぞ」 ホッチナーがそう言った時だった。 リードがホッチナーの首を引き寄せるように力を込めた。 それはほんの些細な力だったが、ホッチナーにはその意味が分かった。 ホッチナーがリードの唇に唇を重ねる。 そして二人は同時に爆ぜた。

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