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第26話

リードはソファの上で裸で四つん這いになり、尻にはホッチナーの人差し指と中指が差し込まれている。 ホッチナーが持参したローションのせいで、ホッチナーの太い指は難なくリードの蕾に侵入し、リードの感じる場所を的確に攻める。 リードは後ろを向いてホッチナーとキスをしながら、「…ふ…んんっ…」と甘い吐息を漏らしている。 それにリードの雄はプクリプクリと溢れる蜜でびしょ濡れだ。 ホッチナーは唇を離すと、リードの背中に吸い付きながらキスを始める。 リードの真っ白な背中は滑らかな手触りで、ホッチナーはがっつきたくは無かったが、リードのか細くしなやかな肢体はいとも簡単にホッチナーの理性を打ち砕く。 リードのふわふわの髪が揺れる。 午後の日差しを受けてリードの身体の輪郭がきらきらと霞む。 ホッチナーの瞳に、今朝自分が付けた赤い跡が映る。 無意識にリードの蕾に差し込んだホッチナーの指に力が込もる。 「…ッ!ホ、ホッチ…やだぁ…」 リードが仰け反ろうとするのを、ホッチナーが片手で簡単に押さえ込む。 そしてホッチナーがリードの背骨に沿ってザラリと舐めると、リードの身体がブルッと大きく震えた。 「ホッチ…やめて…出ちゃう…から…」 「出せば良いだろう?」 「でっ、でも…動けなく、なる…」 「俺がいる。 安心していい。 好きなだけ感じてろ」 ホッチナーはそう言うとリードの背中を押さえ込んでいた手を、リードの胸の突起に滑らすと、キュッと捻った。 「…!ダメッ…アアーッ…!」 リードが白濁を散らす。 次の瞬間、ホッチナーがリードの蕾から指を抜き取り、リードの尻を両手でガッチリと掴む。 そしてリードの太腿の間で猛った自身を激しく抜き差ししだす。 ホッチナーに荒い息で「リード、太腿をもっと閉じろ」と言われ、リードは「いま…イった、ばっかり…だよ…やめて…」と弱々しく訴えるが、ホッチナーは「閉じろ」と答えるだけで激しいピストンは続く。 リードが啜り泣きながら、何とか太腿を目一杯閉じる。 その間をリードの白濁に濡れた双嚢とペニス目掛けて、ホッチナーの太く硬く育った自身が擦り上げる。 「あっ、あぁ…ホッチ…ホッチ…なんか、へん…」 「リード…かわいいよ、お前は本当に」 「…ぼく、…また…ああん…っ」 「…またイきそうか?…良いから好きなだけイけ」 「…やだっ…激し…ああぁッ…!」 そうしてホッチナーは達し、熱い白濁を掛けられたリードも再び達した。 ホッチナーの逞しい胸板に寄り掛かるリードは見るからにご機嫌斜めだ。 「…何か僕、ここに来てからお風呂ばっかり入ってる気がする…」 ホッチナーは唇を尖らすリードの顎に手を当てて振り返えさせると、「正確にはここはバスタブじゃ無く、ジャクジーだ」と言ってリードの唇にチュッとキスをする。 リードが上目遣いでホッチナーを睨む。 「またそういうことして! もう変なことしないでよ!?」 「しない。 だから理性が利くようにテラスのジャグジーにしたんだから。 風が気持ち良いな。 身体に気持ち悪いところは無いか?」 「……無い。 シャワーを先に使ったし。 風は確かに気持ち良い…ジャグジーも…。 でも…」 そこ迄言うと、リードが視線を落とした。 ホッチナーがリードの顎に当てていた手を離す。 リードがゆっくりと前を向く。 「でも、何だ?」 ホッチナーに耳元で囁かれて、リードがポッと赤くなる。 「…ホッチと湖を散歩したかったなって…」 ホッチナーが即答する。 「明日、散歩しよう。 約束だ」 「…そうだね」 沈んだ口調のリードに、ホッチナーが後ろからやさしくリードを抱きしめる。 「今日じゃなきゃ駄目なのか?」 「…んー…確認したかったって言うか…。 ホッチ、今夜一緒に満月を見ようって約束したこと覚えてる?」 「勿論。 それがどうした?」 リードがホッチナーの腕の中で、くるりと振り返ると、ホッチナーの首に両腕を回してホッチナーを見上げる。 「それなら許してあげてもいいよ。 この場合の許すっていうのは精神定義においての…」 するとリードが突然黙り、カーッと真っ赤になった。 ホッチナーが微笑む。 「そうか。 ありがとう」 リードは照れ臭そうに「どういたしまして!」と早口で答えると、ホッチナーの唇にムギューっと唇を押し付けた。 それから二人はジャグジーを出ると、ホッチナーが甲斐甲斐しくリードの世話をした。 リードは「自分で出来るよ!」と抵抗したが、相手は屈強でいて身のこなしが素早いホッチナー。 リードに逆らう隙きを与えず、全身をバスタオルで拭いてやり、また髪も乾かしてやった。 それにリードが普段使っているスキンケア用品やボディクリームまで使用して、リードを驚かせた。 「ホッチ、何で知ってるの?」 小首を傾げるリードにホッチナーが口元を押さえながら言う。 「あの夜…ハリウッドのから帰った夜、お前の家に顔を見に行っただろ? それで俺は当たり前の様にお前の身体に勝手に触れた」 「違う! 僕がホッチに部屋に入ってって強引に…」 「違わない。 それでも俺は、お前の身体を傷付けるのは絶対に嫌だったから、洗面所に行ってボディクリームを借りて使ったんだ。 意味が分かるか?」 リードがカーッと赤くなると俯いて「うん」と答える。 「その時スキンケア用品も見た。 それで揃えておいたんだ。 お前の綺麗な肌が荒れるなんて嫌だったから。 迷惑だったか?」 「め…迷惑だなんて…ありがとう」 真っ赤なまま俯いているリードの髪をホッチナーがクシャッと撫でる。 「仕事の電話を一本終わらせたら、そろそろ夕食の準備に取り掛かるから。 お前はのんびりしてろ」 「…うん」 リードはまだ俯いたまま小さく答えた。 ホッチナーはリビングでリードにフレッシュオレンジジュースを渡し、リードがまた古書を読み始めると、書斎に向かった。 衛星電話の短縮ボタンを押すと、直ぐにガルシアが出た。 『ホッチ! 今、電話しようと思ってたんです』 「何かあったか?」 『あったと言えばあるし、無いと言えば無い! 兎に角不気味で、パンダの赤ちゃん動画が観たくなっちゃう! もーこの際パンダの赤ちゃんじゃなくてもキリンの赤ちゃんでも』 「ガルシア」 『すみません! 実はあの後、46回もリードのスマホにあの使い捨て携帯から着信があったんです! 留守番電話に切り替わるとメッセージは残さず切ってますけど! 移動しながら掛け続けていたので現在地は不明ですが、基地局は変わらずラスベガスです!』 「46回か…普通の精神状態でそこ迄は出来ない。 それに犯人はリードに執着する余り、自分がどう思われても良いと思っている。 いくらリードの信頼を得ているとはいえ、そんな行動を取れば、リードの信頼は崩れ、不信感どころか恐怖を抱くだろう。 焦りどころじゃない。 犯人はリードが電話を無視していることに、怒りを持った。 そしてリードを手に入れることを諦めていない。 極めて危険な精神状態だ」 『ですよね! ところがもっと不気味なのが、この2時間というもの、ピタッと電話が止まったんです! なりふり構わず電話しまくってたのに! まさか別荘の場所を割り出して、そちらに向かってるとかじゃ無いですよね!?』 「それは無い。 まずこの別荘の場所は持ち主の関係上、FBIの人間でも割り出せない。 それにこの別荘の場所を割り出せる能力があるなら、とっくに行動に移している筈だ。 46回も電話を掛けるなんて馬鹿馬鹿しい真似はしないだろう。 問題は犯人の精神の破綻が進んでいて、次の行動が予測出来ないことだ」 ガルシアが不安気にポツリと呟く。 『リードを手に入れること以外は…?』 「そうだ。 だが犯人がラスベガス近辺に留まっていることは、何かしらの計画をラスベガスで立てているとしか思えない。 犯人にとって、ラスベガスで一番利用価値があるのはリードの母親だが、母親に近付け無いことは犯人も分かっているだろうし、支局の潜入捜査員からも不審人物の報告は無い。 しかし犯人の精神破綻が進んでいれば、施設で何らかの無謀なアクションを起こす可能性はある。 だから今はリードの母親を守り、リードへの通信記録を地道にチェックするしか無いんだ。 ガルシア、頼んだぞ」 『分かってます! ホッチもリードを守って下さいね! 絶対ですよ!』 「ああ、絶対に守る。 約束するよ」 ホッチナーの確信に満ちた声に、ガルシアは安心したように『良かった!ではまた!』と元気に言って、いつもの様にガルシアから通話がブチッと切れた。 ホッチナーがリビングに戻ると、リードの姿もリードが図書館から持ち出した3冊の古書も無かった。 「リード! 何処だ!?」 ホッチナーが大声でリードを呼び続けながら、リビングを飛び出す。 するとひょっこりとリードがキッチンから顔を出した。 リードは丸みがかったアーモンドアイをまん丸にしている。 「ホッチ? どうしたの?」 「…! どうしたもこうしたもあるか! 何故リビングに居なかったんだ!? それに本はどうした!?」 リードがキョトンとして答える。 「本は図書館に返したよ。 それでもホッチが戻らないから、キッチンに行ってみたんだ。 僕が手伝えることが有るんじゃないかと思って」 ホッチナーがリードに駆け寄り、力一杯抱きしめる。 「この…馬鹿! 心配させるな!」 「ホッチ…ホントにどうしたの? 僕、料理は得意じゃないけど、ホッチと一緒に料理したら絶対楽しいって思ったから、冷蔵庫の中身をチェックしてたんだ」 リードの無邪気な声に、ホッチナーが深く息を吐く。 「…そうか」 「ホッチ…何かあったの?」 ホッチナーはリードを腕から解くと、笑顔を『作る』。 「いや。 無いよ」 リードはニコニコと笑っている。 「お仕事お疲れ様! ねぇねぇここの冷蔵庫の中身凄いんだよ! 解凍すれば良いだけの冷凍された調理食品がいっぱい詰まってるんだ! でもそれだけじゃないよ! 果物やケーキもある! 冷やして食べるドーナツも! 冷たいドーナツなんて初めてだよ、僕!」 ホッチナーがフッと笑う。 「そうか。 じゃあその冷たいドーナツを食べて夕食が出来上がるのを待ってろ」 リードがプーッと膨れる。 「僕も手伝いたい! 二人で作った方が絶対楽しいもん!」 ホッチナーがリードのか細い肩を両手で掴むと、リードの額にキスを落とす。 そして諦めた様に言った。 「ドクター・リードは火に近づかないこと。 包丁も持たいないこと。 以上二点を守れるなら一緒に夕食作りをしよう」 リードはホッチナーを見上げると、嬉しそうに「守る!」と言ってにっこり笑った。 それからホッチナーとリードは少し早めの夕食作りを始めた。 リードが夜の9時に、二階のバルコニーでホッチナーに話したいことがあると言ったから。 勿論ホッチナーが『シェフ』でリードはアシスタントだ。 ホッチナーもそれ程料理に自信がある訳では無かったが、別荘を借りたいと申し出た時、別荘の持ち主に解凍すれば良いように調理した料理を冷凍しておくからと言って貰えたので、さほど苦もなく豪華な料理が作れた。 リードは電子レンジで解凍をする係に専念させられていた。 そうして二人は仲良く料理を楽しんだ。 リードは少し緊張している様子だったが、ホッチナーにとってはそれもかわいらしくて堪らない。 そしてディナーが始まる。 年代物の赤ワインで乾杯して、仕事の話は一切せずに。 二人の間には笑いが絶えない。 ホッチナーはいつものしかめっ面は何処へやら、リードのする話なら何でも楽しくて笑顔のままだし、リードはホッチナーから聞く自分の知らない世界の話が楽しかった。 楽しい時間は飛ぶように過ぎ、8時30分にはディナーを終わらせた。 それから二人でテーブルを片付け、リードの希望した9時5分前には二階の主寝室のバルコニーにホッチナーとリードは立っていた。 リードがクスッと笑う。 「予定時間の5分前に、バルコニーに連れて来てくれるなんてホッチらしいね」 ホッチナーは「そうか?」と答えると赤ワインを一口飲む。 バルコニーは凝った石作りで、置かれたテーブルにも複雑な彫刻が施されている。 だがリードは全く目に入らないようで、夜空と遠くに見える湖を交互に見ている。 そして9時丁度になるとリードが夜空に向って指を指した。 「見れば分かると思うけど、今夜は満月なんだ。 それで満月の光が湖に映ってるのが分かる?」 ホッチナーがリードの肩を抱き、「ああ、綺麗だな」と甘く囁く。 するとリードが片手に持っていた赤ワインを一気に飲み干した。 「リード!? 何してる!?」 焦るホッチナーにリードが、「いいから黙って聞いて!それと僕から離れて!」と捲し立てる。 ホッチナーは無言でリードの肩から手を離し、リードから1メートル離れた。 リードは深呼吸をすると、満月と湖に視線を真っ直ぐに向けて早口で話し出す。 「ここの別荘の住所から緯度と経度を計算したら、9時になればこのバルコニーから満月と月光が湖に映るのが分かった。 それでこの光景を見たら、ホッチに言えると思ったんだ。 人間の体重の60パーセントから70パーセントは水分で出来ている。 だからって月の引力…つまり月の満ち欠けが人間に影響することは科学的に証明されていない。 そう信じてる人は多いけど。 だけど引力じゃなくて、月光の強弱で動物の出産や農作業に参考されている例は世界中に多数あるんだ。 僕的には月の引力と言うよりも、地球を中心とした他の惑星の配置が何かしらの影響を与えることが無くはないと考えられる説は検証する価値はあると思ってて…だから…」 リードが空のワイングラスを両手でぎゅっと掴み、黙り込む。 ホッチナーがやさしく「リード?」と呼ぶ。 リードが満月と湖を見つめたまま、カーッと赤くなる。 ぞしてポツリポツリと話し出した。

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