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第27話
「ホッチにおでこの傷にキスのおまじないされて…ドキドキが止まらなくなって、FBIの屋上で好きだって言われてキスされて熱を出して…ドキドキはもっと酷くなって…それからもホッチに色んなことされたけど…ホッチはいつも僕に好きだって言ってくれてて…それで思ったんだ。
何で僕はホッチに色んなことされても嫌じゃ無いんだろうって。
何で嫌だからやめてって拒否しないんだろうって。
それで気付いたんだ。
それは嫌じゃないからだって。
それなのに…ホッチにばっかり好きだって言って貰ってるくせに…僕はホッチに何をされても嫌じゃ無いんだってちゃんと言葉で伝えて無いって…でも、僕、こんな気持ちは初めてで…」
「リード、もう良い。
無理するな」
ホッチナーが絞り出す様に言う。
リードがぶんぶんと首を横に振る。
ふわふわの髪が揺れる。
「さ、最後まで聞いて。
それで…それで…僕、もうひとつ気付いたんだ。
屋上でホッチから渡された紙の束にあった言葉…『im 'in caritate』ラテン語で意味は『あなたに恋しています』…ホッチは俺の気持ちだって言った…そ、それで非科学的かもしれないけど、満月の引力で僕の身体の水分が変化して脳の動きが鈍くなってくれれば、心を司る神経機能が正直に、より鮮明になってくれるんじゃないかと思った。
結果は…変化なんか起きなかったけど、気付いた気持ちは消えなかったし、こんな綺麗な満月と湖に映る月光を見たら…ホッチと一緒に見たら…嬉しくて…絶対伝えなきゃって思ったんだ…」
リードがホッチナーを見上げる。
そして言った。
「僕…ホッチが好きだよ。
僕もホッチに恋してる」
ホッチナーの手からワイングラスが落ちて、砕け散る。
「…リード」
ホッチナーの大きく見開かれた目。
震える声。
リードがホッチナーに抱きつく。
「ホッチ…ホッチは僕にどんなことをしても、最後までは絶対しなかった。
我慢してくれてた。
でももういいんだよ。
だって僕達両想いなんだから。
僕達は恋人同士なんだよね?」
ホッチナーがリードを力一杯抱きしめる。
「俺を恋人にしてくれるのか?」
「…え?うん。
ホッチ、僕の告白ちゃんと聞いてた?」
リードの不思議そうなちょっぴり拗ねた声。
ホッチナーがフッと笑う。
「聞いてたよ。
一言一句漏らさず。
暗唱しようか?」
「暗唱って…ホッチ、僕、こここ告白したんだよ!?
人生で初めて!
ロマンチックじゃ無いなあ!」
「お前がロマンチックを求めていることに驚きだ」
「ホッチ!」
「冗談だ」
「ホッチの冗談は分かりにくいよ!」
「ユーモアのセンスが無いからな」
ホッチナーはそう言うとリードを抱きしめていた腕を素早く解き、リードの小さな顔を両手で包んだ。
その大きな手は小刻みに震えていた。
「…ホッチ?」
「好きだよ、リード」
「…知ってる」
ホッチナーがリードの唇に、羽根のように軽いキスをした。
ぐちゅぐちゅと湿った卑猥な音。
リードの唇から漏れる甘ったるい喘ぎ声。
ベッドサイドのランプの灯りに照らされるリードのか細い裸体は、ピンク色に上気している。
リードが涙を零して訴える。
「…ほっちぃ…も、むり…もうやだぁ…」
「もう少し我慢しろ。
お前の身体を傷付けたく無いんだよ」
ホッチナーはリードの蕾に入れたローション塗れの三本の指を、バラバラに動かし解している。
ホッチナーは純粋に、リードの蕾を時間をかけて『受け入れやすい状態』にしてくれているのだが、リードは今迄ホッチナーの指を二本しか入れられたことが無かったし、ホッチナーの指はリードの感じる場所を容赦無く掠めるし、リードはこの行為が何十分続いているのかも分からなくなっていた。
それにホッチナーの巧みな指の動きにリードの雄は勃ち上がっている。
そしてリードはホッチナーの指の動きだけで小さく達してしまう。
それにリードにとって最悪なことに、ホッチナーはリードが「…やだっ…イっちゃう…ッ…!やめて…!」と訴えても、「イきたかったらイけば良い」と冷静に答えて、指の動きを止めてくれない。
その度にリードは小さく達し、プクリプクリと白濁を零してしまう。
そうしてリードがホッチナーの指の動きを追う以外、何も考えられなかった時、ホッチナーが突然リードの蕾から指を抜き、リードの腰の下にクッションを差し込むと、リードの両足を目一杯開いた。
そして一言、「挿れるぞ」と言った。
次の瞬間ホッチナーの固く怒張している肉棒がリードの身体を貫いた。
リードは声も上げられなかった。
ホッチナーはリードの開らかせれた太腿に両手を付き、奥へ奥へとガンガンと穿ってくる。
リードは瞳をぎゅっと瞑り、譫言の様に、「あんっ…ほっちぃ…やだぁ…アアッ…!」と喘ぐことしか出来ない。
ホッチナーは蕾を解していた時と同様に、容赦無くリードの蕾に猛った雄を差し入れしながら、最奥を突き続ける。
その度にリードの全身に強烈な快感が走る。
まるで血が沸騰している様に熱い。
理由も無いのに閉じた瞼から涙が流れる。
リードが薄っすらと瞳を開ける。
ボンヤリとホッチナーの顔が見える。
ホッチナーは欲情に燃えた目をして、汗を浮かべながら、リードを見ていた。
それなのにその顔には、愛しさが溢れている。
リードの背筋に感じたことの無い快感が、電流のように走った。
リードが「やだっ…こわいっ…死んじゃう…ホッチ、たすけて…!」と悲鳴を上げる。
ホッチナーが荒い息の元、「大丈夫だから」と言って一層激しく肉棒を穿った。
リードが「アアーッ!」と声を上げ、白濁を散らす。
ホッチナーも同時に蕾の最奥に白濁を放った。
それからもホッチナーはリードを離さなかった。
リードはまるで大きな波に飲み込まれている様だった。
快感がやって来て抗えなくて放出すると、また別の快感がやって来る。
快感が強すぎてホッチナーに触れられるだけで、指の先までピリピリする。
リードは初めての経験に、ホッチナーに身を委ねるしか無かった。
一方ホッチナーは、リードに初めて挿入した時にはもう既に理性は焼き切れていた。
初体験のリードをやさしく導いてやるのが自分の役目だと思うが、欲望がそれを上回る。
ホッチナーの手の平に吸い付くようなリードのしっとりとした肌。
潤んだ流れるような眼差し。
長い睫毛の影。
小さな甘ったるい喘ぎ声。
そしてホッチナーの雄を締め付けて離さない蕾。
ホッチナーは何度リードに「いま…イってるから…やめてぇ…」と泣きながら言われただろう。
それでもホッチナーは行為を止めなかったし、リードの蕾を猛る自身で蹂躪し続けた。
リードの真っ白だった身体は、ホッチナーが付けた赤い跡だらけで、胸の突起はぽってりと赤く腫れて滑って光っている。
ホッチナーはリードをガクガクと揺さぶりながら、「リード、好きだ」と繰り返す。
そしてカーテンの隙間から淡い朝の光が漏れる頃、後ろからホッチナーに貫かれていたリードは意識を手放した。
もこもこの泡…
幾度と無く落とされるやさしいキス…
そっと身体に触れる大きな手…
「……んー…」
リードが目を覚ますと、部屋は真っ暗で、ドアの近くのテーブルの上のランプだけがポツンと点いていた。
カーテンは隙間無く閉められているが、どうやら昼間なのは間違い無い。
それに昨夜ホッチナーと過ごした部屋でも無いらしい。
ホッチナーも居ないし、リードは起き上がろうとしたが、身体全体が筋肉痛で動けない。
仕方無くベッドの中でモゾモゾしていると、突然ドアが開いた。
ホッチナーは目覚めているリードを見ると、パッと笑顔になった。
そして直ぐ様ベッドまでやって来た。
「リード、起きたのか!
おはよう」
チュッと額にされたキスが、昨夜の行為をリードの頭の中に蘇らせる。
リードは真っ赤になると、ズルズルとブランケットの中に潜り込んだ。
だがホッチナーがブランケットをさっと捲ってしまう。
「何するの!?」
肩まで真っ赤にしているリードを、ホッチナーは不思議そうに見ている。
「…何って…まだ眠たいのか?
もう昼過ぎだぞ?」
リードがぷいっと横を向く。
「昼過ぎまで寝なきゃならないようなことしたの誰!?」
ホッチナーがフッと笑う。
「そういうことか。
昨夜は悪かった。
歯止めがかからなくなってしまって…」
「僕、初めてだったんだよ!?」
ホッチナーがベッドに座ると、リードのふわふわの髪をやさしく撫でる。
「すまん。
だけどかわいい恋人との初めてのセックスで、夢中にならない男がいるか?」
「……答えになってないよ!」
「そう拗ねるな。
煽られてる気分になる」
リードがバッとホッチナーに向かって振り返る。
「ちょっ…!
僕、もう無理だから!
全身筋肉痛で動けない!」
ホッチナーが真顔で「冗談だ」と答えると、リードをさっと抱き上げる。
「ホッチ!?」
ホッチナーはスタスタと歩きながら話し出す。
「昨夜…というか今朝は、バブルバスに入れて身体を洗って掻き出してやることしか出来なかったから、髪を洗ってやる。
ついでに洗面も済ませよう。
髪は乾かしてやるから、それが終わったら食事だ。
質問は?」
「……掻き出すってなに…?」
ホッチナーが珍しく眉をハの字にして困った顔になる。
「その…昨夜お前から告白してくれて…俺は理性が吹っ飛んだ。
それで生でしてしまった。
だから尻から」
「あぁーもういいっ!
止めて!」
真っ赤っ赤になるリードにホッチナーが愛おし気に笑った。
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