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      第22話*R18

Kneel(お座り)」  強烈なGlareを放つ紫桜が俺を見下ろしたまま命令する。 「Good boy(いい子だ)。…ああ、いい眺めだな」  両膝を内側に折り畳みペタンと座る。女の子座りを無意識のうちにやっていた葉琉。紫桜は全く足りないと言わんばかりの天使の卑猥すぎるその姿に、どう調理しようか考える。  いや、いっその事そのまま頭から喰ってやるか。 「葉琉、それもいいが俺が好きなのはそれじゃない」 「えっ」  同じSubで経験回数の多い友達の友達は、この座り方が一番Domには効くと言っていたのに。葉琉は紫桜の求めているものではなかった事に戸惑った。  そう戸惑うことが分かっていた紫桜は、その様子を頭上から微笑みを深めて見つめる。 「俺が好きなのはこれだ」  そういって紫桜が葉琉に教えたのは、”紫桜の膝の上に乗る”だった。ベッドサイドに立っていた紫桜はベッドへと座り、葉琉の両脇を下から掬うようにして抱える。一瞬ビクッとする葉琉を可愛いと思いながら、そのまま自分の膝の上に、そして向かい合うように座らせた。 「いいか。次からKneel(お座り)と言われたらこうする様に」 「は、い」  物欲しい表情で自分を見上げてくる葉琉に、どこか満たされた様な感覚を覚える。 「葉琉。Stay(そのままだ)」  心地の良いGlareとcommandを貰い、葉琉は溶けるような笑みを浮かべ紫桜に大人しく従う。自分が今パンツのみであることも忘れ、ただ紫桜を欲しがった。  触ってほしかった場所にようやく触れてくれる。熱くてたまらないこの熱を下げてくれるのは、この世界中をさがしても目の前の社長だけなのではないかと錯覚するほどに、葉琉は紫桜に溺れていた。 「可愛いな…」  ツゥゥ…っと葉琉の胸元を人差し指で軽く撫でる。指が動くたびにピクピクと身体が反応している。 「っ!し、おう!!」  身体を捩って逃げようにも。紫桜の片腕でガッチリと捕まえられているのを何となく感じていた。快感を感じたくないが為に要らぬ逃げを実行しようとする葉琉。 「葉琉、Stay(忘れたのか)」 「っ!!!!!!」  そう。葉琉は今、紫桜の膝の上でKneel(膝の上に座り)のあとにStay(そのままの状態) をキープ中である。身を捩って逃げようなんて以ての外だった。  現実を突き付けられた葉琉は、急激に大人しくなる。それと同時に、先ほどまで紫桜一杯だった頭の中は、コマンドを無視した事によるお仕置きについて考えていた。 「Present(隠すな)」  もちろん、2人は向き合っているわけなので、葉琉の急所は紫桜には丸見えだ。葉琉は隠したい衝動に駆られるが、自分は今久しぶりのコマンドに酔いしれていたいとさえ思っていた。  ベッドサイドに座る紫桜を、跨ぐようにして座っている葉琉。卑猥な天使のグロテスクな眷属は自分も構ってほしいのか、かなりの主張を繰り広げている。それを紫桜は葉琉の首筋や割れている筋肉の溝を人差し指でツゥゥ…と優しく撫でながら視姦する。 「っしおう!…も、むり」  元々全身がどこもかしこも感じやすい葉琉は、久々過ぎるPlayによってさらに感度が増していた。遊んでいた自分両手を使い、焦らされて滾っている眷属を開放しようと動く。が、それを見逃さないのが紫桜だった。 「葉琉。Stay(3度目はないぞ)」  先ほどよりも声色を強め、次いでとばかりにGlareも強める。動き出そうとしていた葉琉は、そのまま止まざるを得なかった。紫桜の瞳が、“これ以上コマンドに背くなら、今すぐにでも喰うぞ”と言っていたからである。  いくら葉琉が処女ではないといえ、後ろの穴はもう何年も使っていない。そんなほぼ処女と変わらないであろう繊細な自分の穴が、目の前の立派に反り立ち、それでいてかなりの硬さと太さを併せ持った巨根とはまさにこのことを言うんだろうな。と現実逃避したくなるようなものを入れてみろ。裂けて死ぬ。 「Good boy(いい子だ)」  恐怖で固まった葉琉を紫桜は機嫌を良くしてまた愛でていく。指一本で遊ばれていたのに、いつの間にか片手でサワサワと自分の弱点を触っている。全身が弱い葉琉だが、その中でも首筋と耳、背中、そしてウエスト部分が一番の弱点ポイントだった。 「ああ、葉琉」  うっとりしている紫桜に、葉琉は思わず両腕を紫桜の首に回し思いっきり抱き着いた。 「っ!!」  密かに我慢していた紫桜は、葉琉の思いがけない大胆な行動に一瞬固まるが、すぐにあの意地悪そうな、それでいて妖艶な笑みを浮かべる。 「葉琉、どうしてほしいか言ってくれないとわからんぞ」 「あ…」 「それとも言わせようか」 「……っ」 「…葉琉。Strip(それも脱ごうか)」  紫桜は残っているボクサーパンツを取るよう指示を出す。葉琉はゆっくりと立ち上がり、盛り上がっている真ん中がグチョグチョに濡れたパンツをベッドの下に投げ捨てる。投げ捨てると同時に、紫桜に思いっきり抱き着く。もう我慢できない…。と小さくつぶやく彼は、紫桜の加虐心に火を着ける。 「葉琉、痛いのは嫌いか?」 「え、…っ。や…だ」  葉琉が本気で嫌がっているのが目に見えて分かった為、さすがにやめた。  …初めてであり、怖がっている相手にあれを使うべきじゃないか。そう思う紫桜は、サイドテーブルの棚に入っている拘束用の縄を思い出していた。 「葉琉、痛い様な事はしないから安心しろ。……葉琉、Strip(俺の服を脱がせてくれ)」 「っ。…は、い」  第二ボタンまで開いている白のワイシャツにスラックス姿だった紫桜。葉琉の片腕を自分のベルトへと誘導し、コマンドを投げる。  深夜を回る寝室には、葉琉の熱く紫桜を誘う息遣いと、急性に満たしたいと思うあまり普通よりも大きなカチャカチャ音だけが響いていた。 ――――――――――――――――――― なんで本気の濡れ場までいけなの、わたし!?

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