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      第80話*R18

 猛獣から睨まれているような気分になりつつ、しかしそれが更なる快楽への引き金にもなる。葉琉は紺のナイトウェアをソファの下へと脱ぎ捨てる。無地のトランクス一枚の恋人を今にも押し倒し啼かせたい紫桜だが、羞恥と本能に揺れる瞳で自分のナイトウェアのボタンを健気に外す恋人に少し我慢をする。 「……」 「ん?なんだ?」  ボタンを全て外し、無言で睨んでくる葉琉に悪戯心が騒ぐ。”外したんだから脱げ”と言わんばかりの葉琉の視線。それを全て理解した上で紫桜は葉琉の腰を誘うように撫で笑みを浮かべていた。 「…いじわる」 「もう呂律が怪しくなってるな」  可愛いな、俺の恋人は。そう付け加えながら涙目で睨んでくる葉琉に観念し、上半身裸になる紫桜。そこまではいつも通り。葉琉を少し虐めつつ、葉琉をパンツ一枚に。対して紫桜は上半身裸になるだけ。  そう、ここまではいつもと同じ流れだった。 「ちょ、葉琉。そんなことしなくていい」 「ん…、やだ…」  ちゅ、ちゅく…。紫桜の耳元が葉琉によって犯される。  いつもは大人しく虐められるだけの葉琉だったが今日はやられっぱなしではないようだ。 「ん、葉琉…」 「…ぅん…、ん。」  葉琉の吐息が紫桜の鼓膜を叩く。いつも攻めてばかりで気づかなかったが、葉琉の舐め方はどこか慣れているようだった。  首筋から始まり耳たぶ、そこからまた首筋へと艶めかしい舌が紫桜を襲う。その間自分のムスコを紫桜の勃起したソレに誘うように擦りつけ、空いている左手は後ろへと回し紫桜の内太ももを掠るように撫でまわす。 「…ん、しおう…」  完全に蕩けた葉琉の瞳が紫桜をロックオンしながら近づく。そのまま深くキスをする葉琉。紫桜は完全に理性が飛んでおり、少しの間フリーズしていた。が、葉琉のキスと自分のムスコへの直接的な誘惑に本能がむき出しになる。 「っ、し、ぉ」 「…本当に悪い子だな、お前は」 「っ!ああああぁぁっ!!!」  一瞬にして貫かれる。葉琉の先っぽからは勢いよく白いものが弾けるが、全てトランクスに捉えられてしまう。しかし紫桜の下からの律動は止まることを知らず、更に葉琉を追い詰める。 「っ!あ、ん、っ、あぁ!」 「…っ、」  甘く、そして短い悲鳴の様な葉琉の声はトランクスを搔い潜って律動し続ける紫桜に合わせて止まらない。挿れられた瞬間から逝くのが止まらない葉琉はトランクスに大きなシミを作り続けていた。 「あ゛ッ、ん ぐぅ、っぁ!」 「…、もっとだ、葉琉っ」 「イ、ぐぅ、あ、あ、ぁ、っ、……ッ、そ゛こ、だめぇぇ…っ」 「…ここだろう?、ダメじゃないくせに…っ」 「て、…っ、とめ、てぇっ…。ねぇ゛…っ、ね、たらぁ…ッッ」  恋人のイイところを見つけた紫桜はさらに恋人を攻め立てる。もはや言葉になっていない言葉を紡ぐ葉琉は口からヨダレが垂れ、恍惚感に酔いしれ紫桜の頭を抱きかかえるようにして立て続けに絶頂していた。目を閉じても開いても目の前は白くスパークし、紫桜の荒々しい息切れを感じるとさらに腰の奥がキュンと締まる。それを合図に紫桜は一瞬息を呑みこみ葉琉の奥深くを抉っていく。その快感でさらに紫桜の頭を抱き締めて彼の息切れを近くで感じる。  もはや無限ループのその繰り替えしに理性を完全に飛ばしている紫桜は律動を速めていった。 「っ、葉琉、どうしてほしい?Say(教えて)」 「ひ、ぃッ…、ぁ、あっ、きもひぃっ、そこッ、も、 とっ、ぁ、し、てぇ……ッッ」 「ッ、…Good boy(いい子だ)」  快楽に溺れ素直になっている可愛いSubを褒めつつ、ご褒美とばかりに紫桜は下から容赦なく突き上げる。更なる快感を与えられどこを見ているかも分からなくなっている視線を彷徨わせ、葉琉はスパークした視界の中紫桜のGlareの香りを手繰り寄せるように彼の髪の毛に顔を埋めた。 「…ッ、そのまま捕まっておいで。”一度”終わりにするから」  葉琉の頭を優しく撫でながら言うと、紫桜はこれまで以上に恋人を突き上げる。それはもう、葉琉の直腸へと紫桜の先端が侵入するのではないかという程に。 「す、 きぃ゛…………ッ それ、やばぃ。 あ、あっ、あ、あ゛~~~~…………っ、 す、 ご…………ッ、イくッ イく、 イ ――――…………ッッ」 「……ッ」  葉琉の甲高い喘ぎ声と紫桜の何か耐えるような吐息が交差する。  一瞬動きを止めた紫桜は、葉琉の奥に白濁を勢いよく放った。その熱を体内で感じる葉琉はどこか遠くで幸福感に包まれているのを感じた。 「…大丈夫か?」  全力疾走した後の様な息切れ感と疲労感に襲われた二人はしばらく抱き合っていたが、少し落ち着いてきたらしい紫桜が葉琉に優しくキスを落としながら幸せ絶頂と言わんばかりの笑みを浮かべながら問うてきた。 「……」  しかし問われた本人はまだ快感が体を支配し、現実に戻ってきていないようだ。 「…ベッドにいくか」  未だ蕩けた表情と快楽に溺れた瞳を見てそう呟く紫桜。恋人の中にいる己の分身にまた熱が集中するのを感じながら今度はどうやって啼かせようかほくそ笑む。 「っ、やぁ、…ぬか、ない で……っ」 「ッ、…。抜かないから安心しろ。寝室に行くだけだ」  立ち上がろうとした紫桜を一瞬にして泣きそうな顔になる葉琉が止める。  今日の葉琉は性欲が爆発しているらしい。もしくは、お預けがかなり効いたのだろうか。   そんなことを考えながら葉琉を抱っこしたまま立ち上がる。歩く度に「へ、ぇッ゛ ぇ、 あ? ッ、っ ぁ、あっ? あ、ア ぁ」など葉琉が啼くがもうお構いなしだ。 「…さて、今日は本気を出してもいいだろう?」  妖艶で邪悪な笑みを浮かべながら捕まえた獲物を前に舌なめずりをする猛獣は、空が白ばんできた頃ようやく恋人を胸に抱いて大人しくなった。 ―――――――――― ちょっとは濡れ場の表現読みやすくなっててほしいな…。 次回の濡れ場では紫桜視点でガンバリマス。 …その方が紫桜さんのヤバいところが伝わる気がする。

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