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第一章・7
「そこで、短髪になったお前を連れて行って、女に会わせる。弟だ、といってな」
「兄さん、ひどいよ……」
何はともあれ、短髪にされるのはイヤだったので、惠はハサミを振りかざす瑛一を必死で説き伏せた。
自分でちゃんと、僕はこの人の弟です、男なんです、と証明してみせる、と。
「声を聞けば、いくらなんでも男って解かるよ。声変わり、もう終わったし!」
「解かった。任せる」
しかしながら、手前勝手な言い分で弟の髪をばっさり切ってしまおうという兄には、腹が立つ。
(久しぶりに会って、僕はすごく喜んだのに。突然、髪を切る、だなんて!)
これは少しだけ懲らしめてやろう、との思いも秘めて、惠は瑛一と共に出かける準備をしていた。
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