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第一章・8

 兄の彼女、という人はどんなタイプなのか。  興味津々で待ち合わせ場所に行った惠を待っていたのは、可愛いというより美人系の女性だった。  やや痩せ型で、背が高く見える。  知的な雰囲気を持つ、そして少々気の強そうな人だった。 「遅い。いっつも遅いんだから」 「お前が10分も前に来るからだ」  そして彼女は、瑛一の隣に立つ惠を上から下まで眺めては値踏みしている様子だ。  さすがにチラ見にとどまってはいるが、服のブランドまで見透かされている気がして、惠は落ち着かなかった。 「そして、こいつが俺の弟だ。言った通り、女じゃない。お前の誤解だ」 「う~ん」  そこで、惠の出番というわけだ。 「こんにちは、初めまして。兄がいつもお世話になってます」  男性にしてはまだ高音だろうが、惠の声はれっきとした少年のそれだ。  女は8割がた警戒を解いて、惠を見た。  ただ、惠の瑛一へのお仕置きは、これから始まるのだ。

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