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第一章・15
どうしてあんなこと、言っちゃったんだろう。
『ね。彼女いただけなかったんだから、代わりに僕を食べちゃってもいいよ?』
どうしてあんなこと、言っちゃったんだろう。
『どうしてキスの時、目を開けたままなのか、って訊いてるんだよ』
どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。
『嬉しかった』
「全然、嬉しくなんかないのにさ」
瑛一が部屋から出た後、一人残された惠は眠れない夜を過ごしていた。
何度も寝返りを打ち、目を開いては閉じ。目を閉じては開き。
そして時々、瑛一とのキスの感触を思い出しては身をよじっていた。
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