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第二章・2

   ライン。  兄さんが、あの兄さんが、ライン!  惠は、椅子から転げ落ちそうになった。 「だ、誰と!?」 「女」  そこでもう一度、惠は口をぽかあんと開けた。  この僕ともラインなんてやってないのに、女の人と! 「……こないだ、別れたって言ってなかったっけ?」 「新しい女だ」  惠は3度も口を開けてしまったので、しまいには鯉のような大口になってしまった。  さすがに弟のリアクションに気づいた瑛一は、ようやくスマホから顔を上げ惠の方を見た。 「女を馬鹿にするな。いざという時には最後のシノギになるんだ。最低、食って寝るだけのことはできる」  なるほど、兄らしい女性観ではあるだろうが、惠にはそれが気に入らなかった。  女性=シノギだなんて、まるで便利な道具程度にしか思っていないのではないか。 「兄さん、その人の事、ホントに好きなの?」 「ああ」  イエス、という返事の割には、また無表情にスマホを眺める瑛一だ。  好きなら、もっと笑顔になるはずなのに。

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