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第二章・6

 ひくん、と惠はすくんでいた。 (兄さん、お願いだからこれ以上動かないでね!)  キスだけでも、かなり昂ぶって来ているのだ。  この上、腰まで撫でまわされたら、気を失ってしまいそうだ。  前にキスされた時のことを、惠は思い返していた。  初めてのキス。  あの時兄さんは、舌をどういう風に動かしてたっけ?   僕の舌に、こういう風に擦り付けて。  舌だけじゃなくって、顎の上の方を舐めてたりしなかったっけ?  ぎこちない惠のキスに焦れたのか、瑛一が攻めに転じてきた。 「んッ、兄、さんッ!?」 「少し黙ってろ」  人の舌というものは、こうも自在に動くものなのか。  瑛一の舌は時には強く擦りつけ、時には刷くようになぞった。  惠の咥内を、くまなく味わいつくす瑛一。  敏感な上顎の裏まで弾かれた時には、惠はぴくんと魚のように跳ねた。 「う、ふぅ……。んんっ、う……」 「……」

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