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第二章・8

「キスくらいで腰を抜かしてるようじゃ、まだまだだな」 「う」  だが、と瑛一は笑顔を見せた。 「その意気は買ってやろう。お前の部屋を、シノギに使わせてもらう。これでいいか」 「兄さん」  胸がいっぱいに満たされていく。  ああ、兄さんが僕の傍に来てくれる。  電話したり、ラインしたり、時には宿題教えてもらったりするんだ!  しかし、そんな瑛一を振り返ると、またも無表情でスマホをいじっている。  あんなに激しいキスをしたばかりなのに! 「ああ、うっとうしい」 「何が?」 「女」 「またラインしてるの?」  ほんのさっき、僕の所に来てくれるって言ったのに! 「別れたくない、ってうるさいんだ」 「もう別れ話してるの!?」

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