44 / 163

第三章・3

  「兄さんに触っても、いい?」 「いいぞ。ほら」 「すごい……、がちがちに硬い」  惠はその白い手に、瑛一のペニスを握っていた。 「いいな、惠」 「兄さん」  歓喜に震える惠の後膣に、瑛一の硬いものがあてがわれた。  そのまま、熱杭が惠を貫き……。 「は!」  そこで目が覚めた。  がばと跳ね起き周囲を探ったが、取り乱しているのは惠だけで、空気もベッドもまるで大人しいものだ。  そして、瑛一も。  橙色のダウンライトを灯すと、兄の顔が浮かんで見えた。  安らかに眠る、穏やかな顔つき。  夢の中でのぎらついた兄さんは、僕の記憶のどこに棲んでいるのだろう。 「ヤだな、僕ったら」  自分自身が、硬く張りつめている。  実の兄に抱かれる夢を見て昂ぶるなんて、恥ずかしい。  そっと、後膣に力を込めてみた。  じんじん疼くそこは、確かに瑛一を求めているのだ。 「ダメダメ。そんなコト、絶対に」  血の繋がった兄弟で、あってはならない事だと気持ちに無理やり蓋をした。

ともだちにシェアしよう!