55 / 163

第四章・3

(いかん。勃ってきた)  彼を抱く、ということが前提にあるからだろうか。  これまでキスをしても、こんな体の反応はなかったのに。  唇を割り、舌を入れた。  ためらった後、触れてくる惠の舌が愛らしい。  舐め、擦り、吸った。  温かな湯上りの惠の肌は、どんどん熱くなってゆく。 (兄さん。あぁ、兄さん。兄さん)  いつからだろう、兄さんが、こんなに僕の中にいっぱいいっぱい入ってきてしまったのは。  僕の事抱いて。今夜ここで  こんな恥ずかしいおねだりまでしちゃったし。  ホントは、少し怖い。  後は兄さんに任せよう、と惠は痺れる頭で思っていた。  最後までいっても泣かないし、途中でやめられても泣かない。  成り行き任せはずるい気もしたが、惠の心も揺れていた。

ともだちにシェアしよう!