63 / 163
第四章・11
腰にかけられた兄の手に、惠は焦った。
「に、兄さん。まさか、バックから?」
「初めての時は、この方が痛くない」
待って、と惠は仰向けにひっくり返った。
「初めてだから、兄さんの顔を見ていたいよ」
「苦しいかもしれんぞ」
平気、と言う弟の目に気負いは感じられない。
これなら、スムーズに事は運ぶかもしれない。
では、と瑛一は惠の両脚を広げた。
「痛かったら、言えよ」
「大丈夫」
そういう傍から、瑛一の気配が体内に感じられた。
浅いところに挿入ったらしい。
(ああ、とうとう)
僕は兄さんのものになる。
そして、兄さんは僕のものになるんだ。
惠は歓喜に震えていた。
ともだちにシェアしよう!