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第四章・11

 腰にかけられた兄の手に、惠は焦った。 「に、兄さん。まさか、バックから?」 「初めての時は、この方が痛くない」  待って、と惠は仰向けにひっくり返った。 「初めてだから、兄さんの顔を見ていたいよ」 「苦しいかもしれんぞ」  平気、と言う弟の目に気負いは感じられない。  これなら、スムーズに事は運ぶかもしれない。  では、と瑛一は惠の両脚を広げた。 「痛かったら、言えよ」 「大丈夫」  そういう傍から、瑛一の気配が体内に感じられた。  浅いところに挿入ったらしい。 (ああ、とうとう)  僕は兄さんのものになる。  そして、兄さんは僕のものになるんだ。  惠は歓喜に震えていた。

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