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第四章・13

 兄が妙な感心をしているとも知らず、惠は悲鳴を上げていた。 「あぁ、あ! あッ、あ!」  再び兄は、浅いところに留まった。  正直、ホッとする。  その一方で、さっきの感覚をまた味わいたい、という気持ちもしっかりあるのだ。 「やめるか?」 「ううん。気持ちいい……、多分」  だから続けて、と惠は瑛一に向かって手を差し伸べた。  その手の甲にキスをし、瑛一は再び惠の奥深くへと挿入っていった。  初めは、ゆっくりと。  次第に速さとリズムを付けて、瑛一は腰をやった。  ローションのおかげで滑りはよく、惠の体にもさほど負荷はかかっていない様子だ。  それでも瑛一は抽挿を続けながら、惠に問いかけた。 「大丈夫か、惠」  戻ってきたのは、いい返事だった。 「あ、あぁんッ。はぁ、はぁ、んッ! あぁッ!」 「いい子だ」  声に、艶がある。  惠の体は、瑛一によって拓かれたのだ。  顔を見たいから仰向けで抱かれたい、と惠は言った。  だがその願いが、今は瑛一に喜びをもたらしている。

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