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第四章・14
小さい頃から、手のかかる弟だった。
嬉しいと言っては泣き、悲しいと言っては泣き、怒ったと言っては泣いた、泣き虫の弟。
それでも突き放さずに、大切に大切に守ってきた、惠。
「あぁッ、兄さん! 兄、さ、ん……ッ!」
大人になった、と感じた。
滑らかな素肌に、飛び散る汗。
乱れる髪に、震える睫毛。
あの泣き虫だった惠が、今や匂い立つ色香で俺を惑わす。
「惠。……惠ッ!」
「あぁ、もう……ダメぇッ!」
びゅる、っと惠が精を放った。
温かな感触が瑛一の腹にまで届き、脳髄までぞくりときた。
最後まで、と惠は言った。
瑛一は覚悟を決めると、さらに速く激しく腰を叩きつけた。
「あ、あぁあ!」
達した体は、重だるい。
そんな惠を休ませることなく、瑛一はひたすら腰を穿った。
「惠、好きだ。惠」
「兄さん。僕、あぁッ!」
息も絶え絶えで、壊れそうだ。
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