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第四章・15

 熱い。  この体も、息も。僕の心も、兄さんも熱い。  焼け付く楔が惠を貫く。何度も、何度でも。  溶ける。  この体も、息も、僕の心も、兄さんも溶ける。  溶けて、一つになってゆく。  僕と兄さんが、溶けて一つになる。 「は、あぁ。あぁ、んッ! あッ、あぁ!」 「中に出すぞ」  瑛一は一度目の昂ぶりで、吐き出すことにした。  もっと、長引かせることはできる。  もっと、惠を味わっていたい。  だが、彼の体への負担を考えて、これで切り上げることにしたのだ。  最後まで、と惠は言った。  だったら中に出してやるところまで、やってやろうじゃないか。  思いきり腰を奥に入れ、瑛一は深いところで精を振り絞った。 「あ! あぁ、あ! んあぁあ!」 「惠……」  どくりどくりと、瑛一の腰が波打つ。  惠の体が大きく引きつり、新しい体液をこぼしている。  二人で抱き合い、震え、荒い息を吐いた。  しばらく繋がったまま、瑛一は惠の髪を撫で、肌をさすった。  どこか遠くへ行ってしまったような、放心した惠が安心できるように。  充分、余韻に浸れるように。

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