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第四章・18
「ねえ、兄さん」
「ん?」
「好き、と、愛してる、って、どう違うんだろうね」
「さあな」
惠は、瑛一を見つめた。
昨夜、兄さんは僕の事を、好き、って言ってくれたけど、愛してる、とは言わなかったよね。
「愛してる、の方が深い気がするな、僕」
「そうか」
僕はこれからも、兄さんに抱かれたいし、そうするつもり。
あと何回一緒のベッドに寝たら、兄さんは僕の事を、愛してる、って言ってくれるだろう。
「惠」
「何?」
「愛してるぞ」
ええッ!? と、惠は大声を上げていた。
あの兄さんが!
さらりと言いにくそうなことを言ってくれるだなんて!
あまりの惠のリアクションに、瑛一は苦笑いした。
「何だ。言って欲しかったんじゃないのか」
「そうだけど! でも!」
「愛してるぞ、惠」
「もう、やめてよ! ありがたみが薄くなるから!」
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