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第五章・6
「お前のは何だ。俺にも一口くれ」
「うん、いいよ。ハニーレモンとトロピカルシャーベット」
「……甘いな」
「ごめん。口に合わなかった?」
「いや、美味い」
「よかった!」
こんな他愛ない、普通の会話を楽しんだ。
(ああ! ホントに恋人同士みたい!)
惠はすっかり舞い上がって、ご機嫌だった。
「惠クン!」
「え?」
突然、女性の声で名を呼ばれ、惠は頭を跳ね上げた。
あ、この人は……。
惠が原因で瑛一と別れる事となった、兄の元カノだ。
「お兄さんとデート? 妬けるわ~」
「え、いえ、そんな」
いいのよ、と女は惠の隣に尻を捻じ込んできた。
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