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第五章・11
「ね……、兄さ、ん。お願い……ッ」
息も絶え絶えに喘ぎながら、惠は瑛一にすがっていた。
返事もせずに、もくもくと兄は愛撫を続けている。
大きな大きなベッドに丸くなった惠は、ひゅッと息を吸うとぶるりと震えた。
「あぁ、あ! ッあぁあン!」
惠の前を弄っていた瑛一の手のひらに、温かな精が零れだした。
それでも兄は手を休めることなく、弟の後ろを拓く。
後膣に挿れられた太い指は、もう3本になっていた。
「兄さん、ってばッ」
涙目で、惠が訴えてくる。
「何だ」
もうやめて、と言ってくるか、と瑛一は思った。
始める前から、懸念はしていた。
なにせ惠は、昨夜が初夜だったのだ。
行為に慣れない身体と心が悲鳴を上げているのだろう。
「来て……、早く」
「何?」
指で苛められながら、惠はそう言った。
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