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第五章・13

「あぁ、兄さん……」 「いくぞ」  ぐ、ぐぐ、ぐッ、と一気に貫いた。 「あ! あぁああ!」  惠の声は、痛みを伴う悲鳴ではない。  たっぷりと艶を含んだ嬌声だった。  ああ、とうとう。  やっと、兄さんが僕の内に!  歓声を上げ、惠はそれだけで一度果てた。  余計な力の抜けた瞬の体は、いきり立った瑛一の恰好の餌食だった。  ゆっくりと抜き差しを始め、やがて速くリズミカルに腰を打ち付けた。  薄い惠の尻頬は、そのたびに高い音を立てて震えた。 「あぁ! はぁ、はぁ、あぁッ! あぁッ!」  背後から貫いているので、惠の顔が見えない。  だが髪を振り乱し、背を思いきり反らして啼く弟の姿に、兄は充分興奮していた。 「あッ! 兄さ、あぁッ!」  四つ足に這い獣の姿勢で、快楽を貪る惠。  爪でシーツを掻き毟り、淫らに腰を振る惠。  アイスクリームショップでの、子どもっぽい仕草がふと瑛一の脳裏をよぎった。  だが、どちらも同じ惠なのだ。 (これが、ギャップ萌え、というヤツか)  充血が、加速してゆく心地を感じた。

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