92 / 163

第六章 クリスマスプレゼントは、兄さんが欲しいな。

 惠は、背伸びをした。  やはり、脚立の高さが少しだけ足りないのだ。  手には、大きなきらめく星。  これを、この高い高いもみの木の、てっぺんに飾れば、クリスマスツリーの完成だ。 「もう、少し!」 「がんばって、惠様!」  下で、使用人や執事が声を上げている。  こんなことなら、背の高い執事さんにお願いすればよかった!  ふと、その時、周囲より低い声がした。 「何をしてるんだ、惠」 「瑛一兄さん!?」  思わず振り向き、下を向いた拍子に、惠は大きくバランスを崩した。 「危ない!」 「落ちるぅ!」  使用人や執事が叫ぶ中、瑛一が素早く数歩前へ出た。  

ともだちにシェアしよう!