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第六章・3
「惠、クリスマスプレゼントに何か欲しいものはあるか?」
瑛一のこの言葉に、惠はコーヒーを吹くところだった。
「と、突然どうしたの!?」
さっきはクリスマスの飾り付けを呆れたように言っていた兄。
その舌の根の乾かぬ内に、クリスマスプレゼントと来た。
それに、兄さんはクリスマスをお祝いするような人ではない、と思っていた惠だ。
突然の言葉に、驚いていた。
「何もないのか?」
「ある! あるよ、兄さん!」
咄嗟にそう言ったが、すぐには思いつかない。
何不自由ない、藤堂邸での生活だ。不足しているものなど、何もない。
ただ……。
「兄さんが、欲しいな」
「俺、か!?」
そう、と惠はうなずいた。
「兄さんのことだから、このお屋敷でのクリスマスパーティーには出席しないつもりでしょう」
だから、と惠は缶コーヒーを両手で包んだ。
「12月24日は、僕と一緒に過ごしてほしいな、なんて」
「う~ん」
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