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第六章・5

 12月24日、夜。  藤堂家のパーティーを無事終えて、惠は自分の部屋で瑛一を待っていた。 「兄さん、遅いな」  腹八分目で抑えておけ、って言ってたけど、お土産にタコ焼きでも買ってきてくれるのかな?  そんなことを考えていると、窓をコツコツと叩く音がした。 「兄さん、ちゃんと玄関から出入りするように、っていつも言ってるのに!」 「家人に会うと面倒だからな」  それに、と瑛一はにやりと笑った。 「今夜の俺は、誘拐犯だ」 「誘拐犯?」 「惠、おまえをこれから誘拐する」  そう言って、瑛一は窓を大きく開け放った。  冷たい風と共に、粉雪が舞い込んでくる。 「じゃあ、誘拐されちゃおうかな」 「そうしろ」  二人は窓から外へ出て、屋敷の庭園を並んで歩いた。 (また、バイクの後ろに乗せてくれるのかな)  そう期待していた惠だったが、今回はさらに驚く展開だった。  屋敷の外には、自動車が横づけされていたのだ!

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