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第六章・7
瑛一は自動車を、ホテルへ止めた。
以前行った、山の中のブティックホテルではない。
繁華街の中にある、ホテルだ。
「高級ホテルじゃないが、勘弁しろ」
「……」
「どうした?」
「う、ううん。何か、すごい……」
まだ高校生の惠には、クリスマスをホテルで過ごすという発想はなかった。
やはり兄は、大人なのだ。
高級ホテルじゃないが部屋はいいぞ、という瑛一の言葉通り、高い階にある二人の部屋は、素敵だった。
「兄さん、夜景! 綺麗!」
「喜ぶと思った」
展望台のような一枚ガラスの窓から見る夜景は、地上の星々のようにきらめいて美しい。
思わず見とれていた惠の背後に、瑛一が近づき腕を回した。
「メリークリスマス、惠」
「ありがとう、兄さん。メリークリスマス」
後ろから抱きかかえられた惠は、瑛一のぬくもりを感じながら夜景を味わった。
この光の元に居る人々の全てに、神様のお恵みがありますように。
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