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第六章・11
別の料理、って、僕の事だったのか。
そう惠が悟ったのは、シャワーを浴びてバスルームから出てきた時だった。
バスローブを引っかけた瑛一が、ベッドに腰かけ煙草を吸っている。
惠が来たことに気づくと、兄は煙草を揉み消した。
「どうした、早く来い」
じゃあ僕も、兄さんを食べちゃおう!
「いただきま~す」
そう言って、惠は瑛一の首に腕を回してキスをした。
驚いたような眼の瑛一だったが、次の瞬間には惠の腰に腕を回しキスに応えてきた。
角度を変え、舌を絡ませる。
ぴちゃくちゅと音を立て、互いに互いを貪るようなキスをした。
「ふふっ、煙草臭い」
頬を擦り付ける惠の鼻をつまみ、瑛一はその身にまとうバスローブを剥いだ。
柔らかな灯りのもとに浮かぶ惠の裸身は、息をのむほど美しい。
「惠、綺麗だ」
嬉しい、と惠は瑛一に抱きついた。
ワインのおかげかな。
兄さん、すごく優しい言葉をかけてくれる。
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