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第六章・17

「やっぱり兄さんは、サンタクロースだったんだ!」  少し人相の悪い、照れ屋のサンタさん。  素敵な、イヴだった。  高級車で、夜景のきれいなホテルの部屋に連れて行ってもらって。  美味しいお料理食べて、ちょっぴり背伸びしてワインを舐めて。  それから……、あんなにいっぱい愛してもらって!  惠の耳は、熱く火照った。  ニット帽のふわふわとした肌触りが、兄の手のひらのようだった。  優しく髪を、撫でてもらっているようだ。 「どうしよう。今から、来年のクリスマスが楽しみになっちゃった」  明るい日が昇り、窓の外の雪化粧はもうほとんど溶けている。  それでも溶け残った雪の上には、サンタクロースの足跡が残されていた。  少し人相の悪い、照れ屋のサンタの足跡が残されていた。

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