117 / 163
第七章・9
そこで、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
ホッと一息つく瑛一の元へ、惠が駆け寄ってくる。
「兄さん、どう? バレーボールは」
「お前が言い出したんだろう」
当たり、と舌を出す惠だ。
素早く耳元に口を持ってきて、こう言った。
「バイクやホテルもいいけど、こういうのも新鮮でしょう?」
「こいつめ」
確かに大勢で輪になって遊ぶ、なんてやったことがない。
大人目線で惠を遊ばせていたつもりだったが、彼もなかなかどうして楽しませてくれる。
惠らしい兄の楽しませ方に、瑛一は口元をほころばせていた。
ともだちにシェアしよう!