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第七章・10

 午後の授業。  惠は何だか眠たくなってきた。 (昨夜は興奮して、なかなか寝付けなかったせいかな)  お昼を食べて、お腹がいっぱい。  バレーボールで、適度な疲労。  これで寝るなという方が、酷な話だ。  それでも意地で眠らないのが惠という少年なのだが、授業をしているのがこれまた兄の瑛一だ。  耳に心地よく響く、落ち着いた低音。 (何だか、ピロートークしてもらってるみたい……)  そういえば、このところ兄さんとエッチしてない。  実習控えて、忙しかったんだね。兄さん。  だから最近、僕の部屋へあまり来なかったんだ……。  気が付くと、惠の瞼は閉じてしまっていた。 「そこで、この言葉は二つの意味を持つことになる」 (惠、俺の前で居眠りだと!?)  ゆるさん、と瑛一はチョークを手にした。

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